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阿賀野川の畔で
港家小そめの「コソメキネマ」 第1回
- 連載
- 浪曲
三日間の祭り
会場には、講談師の田辺一記さんも来ていました。一記さんとは意外な場所で会うことが多く、山形のドキュメンタリー映画祭に来ていた時は、「なんで、ここに!」とびっくりしたあまり、一記さんの肩を掴んでブンブンゆすっていました。
後から聞くと、ドキュメンタリー映画が好きだそうで、特に『阿賀に生きる』が好きで、前々からこの映画の製作過程を講談にしたいと言っていたので、今回は驚くことも、ブンブンゆすることもありませんでした。近いうちに形にしたいと言っていたので、楽しみに待ちたいと思います。
一記さんと巡り合うたび、ここに落語の方がいれば三大話芸コンプリートなのに……と思うので、ドキュメンタリー映画好きの落語家の方ともいつか巡り合いたいものです。
旗野さんが「ここにいる人はみんな親戚」と言っていましたが、この追悼集会は本当に親戚の集まりのようでした。生きている人もいなくなった人も年に一度集まって、また去っていく。人と映画とお酒と温泉。お祭りのような三日間。
それをつないでいる『阿賀に生きる』は、稀有な映画なのだなぁと思います。

■今回の映画
『絶唱浪曲ストーリー』(2023年制作、川上アチカ監督、111分)
▼公式サイト
『阿賀に生きる』(1992年制作、佐藤真監督、115分)
▼公式サイト
(毎月23日頃、掲載予定)