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はにかんで道中記
東家一太郎の「浪曲案内 連続読み」 第3回
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- 浪曲

今回は、函館・札幌での公演と、嬉しいご縁の話です(画:原えつお)
浪曲渡り鳥、北の大地をゆく
東海の 小島の磯の 白砂に
われ泣きぬれて 蟹とたはむる
啄木 詠んだ 函館へ
カニ食べ行こう はにかんで行こう
PUFFYが 歌った北海道
はるばるきたぜ 函館へ
フェリーは波を のりこえて
札幌までは 4時間半
車で駆けてこ でっかいどう
道中日記の お笑い話
時間くるまで 務めましょう
北海道・函館札幌浪曲ツアー。6月22日に家を出て、7月2日に東京に帰って来ました。
北の大地の北海道、普通は飛行機で行って飛行機で帰って来るのでしょうが、浪曲師・東家一太郎、曲師・東家美の場合は、三味線乗せた車で青森、フェリーで渡る津軽海峡、心のふるさと函館へ。そうです、浪曲渡り鳥。朝6時に家を出て、夜10時には着いてしまいます。早いもんじゃ、あ~りませんか。
昔の浪曲、浪花節はよく一座を組んで旅巡業をしていました。暑い夏には北海道、冬になったら九州へ1~2ヵ月かけて廻ったそうです。伊丹秀子先生のような大スターは、その時だけで1年分を稼いだそうです。
全国各地に興行師がいて、浪曲というだけでお客様が沢山集まった時代がありました。人気の浪曲師一行を乗せるため、臨時列車が出たという話も聞いたことがあります。また、浪曲師と曲師で日本全国津々浦々を三味線と衣装とテーブル掛けの入った鞄を手に持って、歩いて巡業した人たちもいました。
旅の興行をすると、そんな浪曲の先人たちの想いや苦労や幸せを追って体感することができます。浪曲という芸能が歩んで来た歴史が、そのまま自分の血と肉になったような、そんな感覚がするのです。