思いがけない旅の始まり
三遊亭好青年の「スウェーデン人落語家の不思議な旅」 第1回
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落語への想いが断ち切れず、再び日本へ
遠く離れた日本へ
どうも、噺家の三遊亭好青年でございます。
こういう芸名で日本語で書かれていると、日本人かと思われるかもしれませんが、実はスウェーデンのウプサラ(Uppsala)という都市の出身です。本名は、ヨハン・ニルソン・ビョルク(Johan Nilsson Björk)です。覚えなくても結構です(笑)。編集部に文章を修正してもらいつつ、私のことを少し紹介させてください。
そもそも、なぜスウェーデン人の私があてもなく、遠い日本にたどり着いたのか? それは実は……特に深い理由はないんです。何となく、です。暇だったから「日本に行って、落語家になろうかな」なんて、どこでもあるような話ですよね(いや、冗談です)。
子供の頃は、なりたい仕事は特にこれといった、はっきりしたものはありませんでした。そもそも仕事という概念もよく分からなかったんです。でも、みんなが何か仕事をしないといけないのが資本主義の世界、いや人間の世界そのもの。
スウェーデンは、日本と同じく小中高、その後はたいてい大学に進学します。大学に入学すると、専攻を決めないといけません。私は、日本語を勉強することにしました。
ただし、日本とは、特にこれといった特別なご縁があったわけじゃないです。子供の時、日本のアニメ、それから任天堂などのテレビゲームに関心があったくらいです。あるいは、祖父が中国などのアジア諸国で大使を務めていたので、多少は日本に親近感があったのかもしれません。
しかし、特にプランがないのに外国語を勉強するのは、いい加減に聞こえるかもしれませんが、スウェーデンでは、どんな仕事をしていても外国語が話せるとステータスになりますし、その国と関係ない仕事でも決して無駄にはなりません。
そして、ストックホルム大学で日本語を勉強していると、大学間でつながりのある日本の大学に交換留学に行く機会を得ます。まず名古屋の南山大学に短期留学し、次に東京の中央大学に一年間留学しました。