仲蔵や北斎も日参した開運のお寺 ~柳嶋妙見山法性寺
神田紅佳の「あやかりたい! 幸せお江戸寺社めぐり」 第1回
- 講談
神田 紅佳
2025/05/21
筆者が出演した法性寺開運講談会の様子
講談師の神田紅佳が講談や落語、浪曲、歌舞伎などに登場する都内の名刹を探訪する『あやかりたい! 幸せお江戸寺社めぐり』。第1回目は、東京都墨田区にある柳嶋妙見山法性寺(やなぎしまみょうけんさん ほっしょうじ)を訪れました。
開運の寺
どうぞ叶えて下さんせ 妙見さんへ願かけて
帰る道にもその人に 逢いたい見たい恋しやと
こっちばかりで先や知らぬ ええ辛気らしいじゃないかいな
恋する乙女の切ない思いが込められた小唄、『どうぞかなえて』。石段を登ったり下りたりする様子を、幇間(ほうかん:お座敷などで客の機嫌を取り、場を盛り上げる職業の男性)がユーモラスに踊る姿が印象的な江戸の小唄だが、その舞台となるのは、墨田区は柳嶋(現在の住所では墨田区業平)に鎮座する日蓮宗の名刹、柳嶋妙見山法性寺。
500年以上の歴史を持つこのお寺は、戦国の昔からとにかく霊験あらたかなことで知られている。なにしろ、この妙見さまの力に魅せられて足を運んだビッグネームは数知れず。戦国時代は北条氏康や徳川家康などの名将が、江戸時代に移ると葛飾北斎(かつしか ほくさい)、歌川豊国(うたがわ とよくに)、柴田是真(しばた ぜしん)などの絵師、さらには中村仲蔵(なかむら なかぞう)、市川左団次、六代目尾上菊五郎などの人気役者に、「日本のビール王」と呼ばれた馬越恭平(まこし きょうへい)などの大実業家も篤信していたそう。
これほどまでのビッグネームが「逢いたい見たい」と焦がれるのは、北辰妙見大菩薩(ほくしん みょうけん だいぼさつ)。
天をつかさどり、北斗七星を従える北極星。この北極星を仏様と見立てたのが北辰菩薩、または妙見菩薩である。右の手には知恵の剣を掲げて魔を払い、左手にはすべての願いを叶える数珠を握り、足元には亀と白蛇を踏まえたお姿。つまり、邪気を退散させ、願いを叶え、福徳を授けるのだから、何ともオールマイティー。生きとし生けるものの「苦」を一挙に解消してくださる、私たち凡人にはありがたい仏様だ。
とはいえ、日本全国、ご利益のある神様、仏様はあちらこちらにいらっしゃるわけだが、この北辰妙見大菩薩のすごいところは、その実力にあり!
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