百済観音
林家きく麿の「くだらな観音菩薩」 第1回
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嬉しそうなお顔
そして、なぜここに百済観音様がいらっしゃるのかを調べて、またまた感動。百済観音様、ずーっと居場所がなかったんだ……。
いろんな場所をたらい回しにされ、可哀想だということで大宝蔵院が作られ、ようやく居場所を得たことを知り、本物の凄さというか、諦めないことって大事なんだと感じました。
私たち、噺家もいろんな人がいます。
売れている人、売れてない人、面白くないのに人気のある人、面白いのに売れてない人、前世で良い行いをしたからまあまあ食べていけてる人、奥様がお金持ちで養ってもらっている人、近所の飲み屋さんでは絶大な人気を誇る人、など等など等など等……うっせぇわ! それはAdo。
大宝蔵院が「この素敵な観音様に居場所を作ってあげたい」という気持ちから作られたのって、売れてなくても、ずーっと面白いことやり続けてたら、誰かが見てくれてて、仕事をたくさん貰えたよ、みたいな感じに受け取ってしまったんです。
わたしゃ泣きましたよ。居場所を作ってもらって、百済観音様が嬉しそうに微笑んで見えるんだもん。泣きますよ。ええ、涙が枯れるまで、お尻のおできが潰せるように大きくなるまで。そりゃあ座ると痛いけど、まだなんだ、待たないといけないんだ……。
ちょっと逸れました。すいません。
それでも笑顔のために
でも、努力して面白いことをやり続けても、必ず報われるわけじゃない。誰かが助けてくれるのは、運なんですよ。面白いことを続けて努力するのは、チャンスを掴めるチャンスを貰うための努力でしかない。
つまり、パチスロ『寄席がたり』の大当たり、「噺家ラッシュ」に入るためには、「噺家チャンス」を突破しないといけないみたいなもんです。パチスロで考えると、まさしく運に思えてくる。
私は寄席に出るチャンスをいただき、笑ってもらうために毎回全力で、いい加減な高座を務めております!! 笑わなかったお客様が「きく麿の出番の後から明るくなって、笑うようになったよ」と言われるために、そして言われ続けるために。この気持ちは変わらないです。
最高にくだらないお話で、皆さまの心に安らぎが与えられますように――。
(毎月16日頃、掲載予定)