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布袋の大仏
林家きく麿の「くだらな観音菩薩」 第3回
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- 落語
受ける演者が持っている能力とは
あと、面白い雰囲気というのは、場数や経験値や自信とか、色んなものが合わさってできるんじゃなかろうかと思うんですよ、あたしゃ。今までの経験上、お客様に呑まれたり、あれ、この人大丈夫かな?と同情されたら、絶対受けないんですよ。だから、寄席で受け続けて自信を持つって、芸人に取ってとっても大事なことなんですよ。
そして、ここだけの話、寄席でいつも受ける人は、お客様を観察する能力が長けているんだと私は思います。
例えば、受けるためと滑らないためにお客様を観察して、「ホームランを打てる時は、大振りな噺でも行けるぞ!」とか、「今日はあまり笑ってくれないから、堅実に当てていってアベレージ取れれば平気だ!」とかね、ネタ選びが……ん? なんで、急に野球で例え出した? あまり野球見てないくせに、よし、恥ずかしいから変えよう。
今日のお客様は、「厚めのトンカツを食べられそうだから、大盛りのカツ丼にしよう!」とか、「いやいや、今日は胃もたれしそうなお客様だから、サッパリおろしのミックスフライで万人に好かれる感じで行こう!」とか……ダメだなこりゃ、もっと訳分からなくなった。
結局、何か言いたいかというと、落語ってネタ選びが凄く大事ってことです。お客様に合う噺を選べるかどうかは、演者の持つセンスと経験値、もちろん話が面白いのは言うまでもないですが、それに布袋の大仏様の面白オーラがあったら完璧ですよってことです。
皆様も一度見に行かれてほしいです。お尻のところが整骨院の入り口とかになってて面白いですよ。あと、指刺して笑っちゃダメですからね。
指差して笑うなら、私にしてください!!
(毎月16日頃、掲載予定)
―― 第2回「阿修羅」