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はにかんで道中記
東家一太郎の「浪曲案内 連続読み」 第3回
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柳川熊吉と碧血碑の物語 ~浪曲が語る義と情
さて、今回の公演スケジュールは、次の7公演。
・6月25日(水)夜 函館碧血会 ホテル函館ロイヤルシーサイドでの懇親会
・6月26日(木)夜 札幌 豊平館 椿の間
・6月27日(金)昼 札幌 発寒川沿会館、夜 札幌 覚英寺
・6月28日(土)昼 函館 湯川三丁目町会会館
・6月29日(日)午前と午後 函館 蔦屋書店2階ステージ
そのうち、5回演じましたのが「五稜郭始末記 ~義侠熊吉」という演目の浪曲。今年建立150周年記念の函館碧血碑(へっけつひ)のお話です。

幕末から明治に変わる時、なんと日本にも内戦がありました! 旧幕府軍と薩長官軍との戦い、戊辰戦争です。明治2年北海道(蝦夷)の函館の地、箱館(はこだて)戦争で榎本武揚率いる旧幕府軍が降伏し、終焉を迎えます。
箱館の町に野ざらしにされていた徳川軍の戦死者を日蓮宗のお寺・実行寺に運んだ人物が、江戸浅草生まれの柳川熊吉(やながわくまきち)です。明治8年に、戊辰戦争で亡くなった旧幕府軍の戦死者を弔うために函館山の中腹、谷地頭(やちがしら)に碧血碑が建立されます。熊吉は碧血碑の近くに庵を作り、88歳で亡くなるまで、碧血碑の墓守として弔い続けました。
詳しくは、次の函館碧血会のホームページをご覧ください。
▼『函館碧血会』のサイトにようこそ
「仏に官軍も賊軍もない!」と命がけで戦死者を弔った、いち民間人、柳川熊吉の義理と情けの心を描いた名作。作者は、函館ラサール高校出身の笹井邦平先生。2000年に国立演芸場が募集した「大衆芸能脚本 浪曲部門」を受賞したこの台本を私の師匠、二代目東家浦太郎が演じました。
一太郎・美の一行が初めて函館で浪曲をさせていただいたのが2019年7月、函館市民の台所、中島廉売(なかじまれんばい)での会です。その時は、まだこの「五稜郭始末記」は私の持ちネタではありませんでした。
函館ご当地の演目で、浪曲を聴いたことがない人にも興味を持ってもらいたい、碧血碑のことを知らない人に伝えたいと思いまして、次の年にまた函館でお世話になり、この演目を覚えて披露しました。