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私が思う「落語界とお笑い界の違い」(中編)
ピン芸人・服部拓也の「エンタメを抱きしめて」 第3回
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落語の見学のしきたり
お笑い芸人は先輩のライブを見学に行って、客席で観て勉強したりするのですが、落語家さんは原則として、客席から先輩の高座を観てはいけないというルールがあることも知りました。
なぜ、そうなったのかは、落語家さんに聴いたりして私なりのリサーチをしましたが、明確な答えはわからず、「しきたりと文化」なんだと思います。そういう芸の部分ではない、裏の伝統も受け継がれる素敵な世界だと思います。
昔、私の単独ライブを「観に行きたい」と言ってくれた後輩が客席で見学してたのですが、終始、一切笑っておらず、あんまり好みじゃなかったのかと思い、翌日、感想を聞くと「兄さん! 最高に笑いました!! ありがとうございました!!!」と返ってきて、人間不信になりました。そして、なぜかその後の数日間は、小田和正さんの「言葉にできない」を爆音で聴いていました(笑)

お笑いの大会・賞レース
お笑い界は、とにかく大会が多い! 第1回の記事でも書かせていただきましたが、お笑い芸人が年々増えに増えて、お笑いの大会も年中開催している状態です。ヨーロッパの強豪サッカーチームくらいずっと、何かしらの大会を戦っているように、本当に「お笑い芸人争わせ時代突入」だと思います。
大会は世に出るチャンスでもありますが、増えれば増えるほど、「大会それぞれの価値・凄み」が薄くなり、わからなくなってきている気もします。それでも『M-1グランプリ』だけは格別で、国民的なイベントになっていて、音楽界でいう「紅白歌合戦」なんだと、私は最近、思うようになりました。
世に出るチャンスが増えることは良いと思うのですが、コントの大会『キングオブコント』やピン芸人(一人話芸)の大会『R-1グランプリ』などで結果を残した面白い人たちの仕事が増え、しっかりと大会の価値が出れば良いのですが、ただ消費されている印象も受けます。
もちろん色んな運もあって、仕事に繋がっていくのが過酷な芸能界だとも思いますし、大会に若手からオジサン・オバサマまで、人生かけて情熱を注ぐのは本当に青春です。私もコンビ時代の13年ほど、そういった戦いを経て、今の活動があるので素晴らしいことだと思います。