AIを使いこなしてチラシ作り!?

月刊「シン・道楽亭コラム」第1回

『文七元結』の世界観

 AIの画像生成は、少しコツが必要です。特に注意が必要なのは、再現性が低いこと。だいたいイメージ通りですが、「ここをもうちょっと調整してもらいたいよな~」と指示を出しても、全体を調整してしまうので、少しずつイメージから離れてしまいます。「そっちじゃない!」と何度、AIに突っ込んだことか……。

 そんな場合は、AIの言語化、つまりAIに状況や内容を文字で認識させてから画像生成を依頼すると、よりイメージに近いものを作ってくれます。

 具体例を挙げると、「笑福亭べ瓶 ネタナおろしの会」(2025年5月29日開催予定)では、『文七元結』がネタ出しされていました。そこで、最初は次のようにChatGPTに依頼してみました。

落語会のチラシを作るので、その背景画像がほしいです。文七元結をネタ出ししているので、文七元結のワンシーンのような画像をください。

 その結果、『文七元結』のシーンでもなんでもなく、単なるよくある落語の一コマのような画像が出てきました。「なんだこれ!」

えーと、こんな場面、ありましたっけ?

 そのため、まずAIに『文七元結』を言語化させようと考え、「文七元結という落語は、どの場所を舞台にしていますか?」と聞くと、次のように回答しました。


●本所・達磨横町(だるまよこちょう)

 主人公の左官長兵衛(さかん ちょうべえ)が住む場所。本所は現在の東京都墨田区あたりで、当時は職人や庶民の多い下町エリアでした。

●両国橋

 長兵衛が身を投げようとする娘を助けた橋。重要な転機のシーンで、ストーリーのクライマックスに近い印象的な場所です。両国橋は江戸時代から有名な橋で、見世物や行楽でもにぎわっていた場所でもあります。

●芝・久保町(現在の港区芝付近)

 お金を預けるために向かう質屋(かまた屋)がある場所。当時の江戸では町ごとに特色があり、芝は武家屋敷や商人もいたエリアです。



 これらを踏まえ、次のようにChatGPTに依頼しました。

夜の両国橋をイメージした背景画像を作ってください。スケッチ風に。セピア調で。

 そして、このような『文七元結』の世界観に合わせた背景画像が生成されました。

夜の両国橋をイメージしたチラシ