思いがけない旅の始まり

三遊亭好青年の「スウェーデン人落語家の不思議な旅」 第1回

運命が変わる

 中央大学では、何かサークル活動に挑戦してみたいと考えていました。日本のサークル活動は、本当にすごくて、何でもありますよね。スポーツや文学などから、勉強、アーツ、何をやってるか分からないサークルまで非常に多彩です。スウェーデンにはこういった文化がないので、興味をひかれて何かを体験してみたいと思ったのです。

 そこで「スウェーデンには絶対ないようなもの」を探しているうちに、普通の日本人でも足を踏み入れるのをためらうような「落語研究会」にたどり付きました(笑)。

 落語は聞いたことがありませんでしたが、新入生歓迎ライブがあったので、「じゃあ見に行こうか」となります。実際に見に行ったら、一瞬で落語のとりこに!……と言いたいのですが、最初は言葉があまりにも速くて、よく理解できませんでした。

 でも、落語が「何となく面白そうで、興味深い話芸」だと思ったため、入部してみることにしましたが、まさかあの日、私の運命が変わるとは思いもしませんでした。もしバスケット部を選んでいたら、今はスウェーデンで普通の仕事をしていたかもしれません。

 落語は、演じるたびに面白さが増し、留学期間が終わってスウェーデンに戻っても、まだまだやりたい気持ちが続きます。そこで、これはもう日本に戻って落語家になるしかないなと思い、よせばいいのに奴さん、日本に戻って、落語について調べ、師匠探しを始めました。

たくさんのお客様の前での高座