梅若丸の悲劇と七つのご利益 ~梅柳寺 墨田院 木母寺
神田紅佳の「あやかりたい! 幸せお江戸寺社めぐり」 第2回
- 連載
- 講談
梅若物語の後日談
梅若丸の墓、梅若塚の傍らに庵を立て、わが子の供養を続ける母、花御前は、すっかり憔悴していた。ある日、池の水面にふっと映し出された我が身の姿に愕然とする。髪は乱れ、頬はこけまるで老婆のようである。身も心も疲れ果てた母親は、いっそわが子の元へと、底なしの浅茅が池(あさぢがいけ)へと身を投げる。
母親が入水してから三日後、母親の亡骸を背中に乗せた大きな亀が池の底からゆうゆうと浮かび上がり、母親の亡骸を池のほとりにそっと置いた。その亡骸の上に土をかけると、その亀はまた、池の中へと消えていったという。その大きな亀こそ浅茅が池の主であった。
その地に母親花御前の墓が造られ、やがてその墓は妙亀大明神(みょうきだいみょうじん)として神として祀られ、地域の守り神となっていった。この妙亀塚は、現在も台東区橋場に残っており、塚の周辺は小さな公園となって大切に供養されている。
木母寺には「梅若塚」以外にもご利益がいっぱい
●三遊塚
三遊塚(さんゆうづか)は、落語中興の祖・三遊亭圓朝が初代三遊亭圓生の追悼のため、明治22年(1889年)に建立したもの。現在は、五代目円楽一門会が中心となって、落語界発展のために落語会を開いている。地域の人たちのお楽しみとなっている賑やかな落語会だ。

●宇賀神
本堂の陰にひっそりとほほ笑んでいらっしゃる宇賀神(うがじん)様。宇賀神は、日本で信仰される神で、特に財運や福徳をもたらす神として知られている。頭が白髪の老人の姿で、体が蛇であるという特徴的な姿で表されることが多い。弁財天と習合し、「宇賀弁財天」として祀られることもある。

梅柳寺 墨田院 木母寺(天台宗)
住所 : 〒131-0034 東京都墨田区堤通2丁目16-1
最寄り駅 : 東武スカイツリー線「鐘ヶ淵駅」(徒歩7分)
▼木母寺 公式ホームページ
▼神田紅佳 出演情報(2025年6月)
(毎月20日頃、掲載予定)