梅若丸の悲劇と七つのご利益 ~梅柳寺 墨田院 木母寺
神田紅佳の「あやかりたい! 幸せお江戸寺社めぐり」 第2回
- 講談
神田 紅佳
2025/06/22
梅若物語とは
「訪ね来て 問わば応えよ都鳥 墨田河原の露ときえねど」という歌を残して、わずか12歳でこの世を去ったのは梅若丸。
お話は、今から千年も昔のこと。「梅若丸」という少年が大津の浜で人買いにかどわかされ、連れ去られてしまう。人買いは梅若丸を陸奥で売り飛ばすつもりであったが、幼い子供にとって永の旅路は重労働、隅田の渡しで行き倒れとなってしまった。この様子に人買いは腹を立て、足手まといとばかりに少年を置き去りにして立ち去った。
この時、瀕死の状態の梅若丸を見つけたのは村の人たち。隅田の渡しの周辺に住む人たちが介抱を続けたが、少年は母への思いを残したまま無念の死を遂げる。 この梅若丸は、今際の際に歌を詠み、村人たちに頼み事をした……。
「ここ隅田の渡しは、東海道の道筋。私のことを訪ねるものがあるやもしれません。どうか私の亡骸は通りの傍らに埋めてくださいませ。そうして、その目印に柳の木を一本植えてくださいませ」
梅若丸が亡くなってからほどなくして、天台宗の僧侶、忠円阿闍梨(ちゅうえん あじゃり)がこの隅田の渡しを通りかかり、その地に塚を築き、さらには柳の木を植え、その亡骸をねんごろに供養した。
それから一年、「幼い子供が大津でさらわれ、陸奥へ連れていかれた」との噂を聞きつけた梅若丸の母親の花御前は、たった一人、京の都を後にして、隅田の渡しまでやってきた。さらに陸奥を目指して道中を急いだが、隅田川を渡るところで、念仏の大合唱を耳にする。これは、隅田の渡しで命を落とした少年の命日、村の人たちが供養をしていたものだ。
村の人たちの話を聴いて、「その少年はわが子、梅若丸に違いなし」と確信した母親は、塚のほとりに庵を立て供養する。やがてそれは立派な寺となり「梅若寺」(のちの木母寺)と呼ばれるようになった。
この梅若丸の物語は、室町時代に能作者、観世元雅(かんぜ もとまさ)により『隅田川』と題して発表され、その後、浄瑠璃、歌舞伎の演目として上演され、広く伝わり「隅田川もの」という一つのジャンルとして確立された。

(木母寺 公式ホームページより)
梅若権現のご利益
梅若権現に祈ると七つのご利益があるといわれている。
一、戦いにおける良い運が続く
二、人に愛され、敬われる
三、福徳と知恵を授かる
四、子供に恵まれる
五、病気が治る
六、結婚が叶う
七、災難から免れる
何ともありがたいご利益である。人生、この七つが叶えば向かうところ敵なしである。ありがたい仏様とのご縁に感謝するばかりだ。

(木母寺 公式ホームページより)
いま読まれています!
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「朝橘目線」 第17回
やれ打つな 俺が手をすり 家事もする
~故人には感謝し、生きてる人には人見知り。落語家の可笑しく温かな日常を綴るエッセイ
三遊亭 朝橘
2026/09/08
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第13回
第2回 リアルインスタンスレポート
~池袋演芸場で開催された、VRユーザーのための落語会の様子をお届け!
古今亭 佑輔
2026/09/05
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「すずめのさえずり」 第十三回
夏
~小学生のみんな、夏休みの宿題は自分でやろうな!!
古今亭 志ん雀
2026/08/26
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「かけはしのしゅんのはなし」 第15回
海水浴は、だいたい思い通りにいかない
~楽しいはずの家族旅行に、次々と試練が……
春風亭 かけ橋
2026/08/29
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「艶やかな不安の光沢」 第4回
N氏の碑から浪江の海まで
~長崎の碧い海から、忘れられない故郷の海へ。喪失と希望のロードムービーのようなエッセイ
林家 彦三
2026/09/04
月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回
演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで
~ファンの小さな困りごとから生まれたアプリの物語
シン・道楽亭
2026/09/09
「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第13回
第2回 リアルインスタンスレポート
~池袋演芸場で開催された、VRユーザーのための落語会の様子をお届け!
古今亭 佑輔
2026/09/05
「朝橘目線」 第17回
やれ打つな 俺が手をすり 家事もする
~故人には感謝し、生きてる人には人見知り。落語家の可笑しく温かな日常を綴るエッセイ
三遊亭 朝橘
2026/09/08
「マクラになるかも知れない話」 第十三回
霊んメイカー2
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/08/25
「オチ研究会 なぜこのサゲは受けるのか?」 第十七回
四段目、 そば清、 愛宕山
~初心者でも楽しめる、オチがもっと面白くなる落語入門
林家 はな平
2026/09/06
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「二藍の文箱」 第16回
見えないものを見る
~広重の浮世絵と落語、過去と現在が静かにつながっていく
三遊亭 司
2026/09/02
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「令和らくご改造計画」
第十三話 「誰のおかげで」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/08/13
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第17回
ありがとう失言、待っているよ暴言
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/09/03
「テーマをもらえば考えます」 第13回
フロートの向こう側
~テーマのクリームソーダにちなんで、いろんなお酒でフロート、やります!?
三遊亭 天どん
2026/08/31
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「座布団の片隅から」 第17回
好楽
~祝・傘寿! タフすぎる三遊亭好楽師匠の宴
三遊亭 好二郎
2026/09/07
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第46回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/11
「マクラになるかも知れない話」 第十三回
霊んメイカー2
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/08/25
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回
揺れ動いた、30代最後・熊本での夏
~祭り、地震、再会、人の優しさ。この夏に見つめた、自分の笑いの原点とは?
服部 拓也
2026/08/28
「お恐れながら申し上げます」 第12回
落語好きの歯医者さんの話
~歯科医院の地下室に灯る落語の明かり
入船亭 扇太
2026/08/12
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
編集部のオススメ
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「令和らくご改造計画」
第十三話 「誰のおかげで」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/08/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第44回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/09
「座布団の片隅から」 第16回
別荘
~優雅な大人の夏休み……のはずだった。涼やかな高原の別荘での珍事件を綴る爆笑避暑日記!!
三遊亭 好二郎
2026/08/07
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第16回
まだ満足にビールが飲めていない夏
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/08/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25