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2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)

「講談最前線」 第25回

2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)

神田鯉栄 近影(日本講談協会オフィシャルサイトより)

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

 講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。〈2026年8月の【前編】〉。

鯉栄、凌鶴、そして『太閤記』の世界

 2026年8月の講談最前線は、休養を終えて復活した神田鯉栄(かんだりえい)の高座姿と、講談協会定席に田辺凌鶴(たなべりょうかく)の会の聴講記。そしていよいよ天下取りに名乗りを上げ、その行動に出た大河ドラマ『豊臣兄弟!』を前に『太閤記』におけるオリジナリティとはいかなるものかについて迫ってみる。

神田鯉栄が墨亭に帰って来た!

 おかえりなさい!――

 思わずそう言ってしまったように、神田鯉栄が約6年ぶりに高座へ帰って来た。

 すでに今年の元日から活動を再開し、神田連雀亭や寄席の高座に上がってはいるが、向じま墨亭には初登場。したがって、本当は「おかえりなさい!」ではなく、「待ってました!」が適切なのかもしれないが、そう口から出てしまったのは、個人的にそこそこ古い付き合いであるからなのだ。

 まだ「神田きらり」と言った前座時代の最後の頃のことであったか、ある方を通して今、墨亭がある向島の別の会で知り合い、その打ち上げの場であれこれとお話をさせていただいたのが最初であった。

 それからしばらくして、屋形船の仕事をお願いし、さらに時を置いてCD制作の現場で立ち会いをと、仕事上の接点はそれほど密ではなかったが、それでもつかず離れずでいたのが鯉栄であった。年もそんなに離れておらず、また前職が同じ業種であったという共通点があったかもしれない。……いや、それは単なる偶然だ(笑)。

 2019年(令和元年)に墨亭がオープンし、軌道に乗ろうとした頃に休養に入り、どうされているのかな?と長く心配していたが、“便りのないのは何とやら”と思うことにしていた。そして昨年あたりから復活するのでは?という噂も耳に入り、先に挙げた連雀亭で稽古会を開くと聞くも、平日昼間の開催であったり、墨亭のある日であったりと、メールでのやり取りだけにとどまり、顔を出せないままでいた(ここまでは言い訳)。

 それが6月頃になって、毎月、墨亭で会を開いている神田愛山が8月のお盆興行を前にして、実は今年は当初、3日間の予定であったのだが、「鯉栄が出られるなら5日間にする」と言い出し、これ幸いに!と(笑)、慌てて鯉栄にメッセージ。

 すると早々に、出演OKを頂戴した。何しろずっとご出演いただきたかった講釈師であっただけに、そして久しぶりの再会であっただけに、墨亭に現れた時に、元気よく「おかえりなさい!」と言ってしまったわけだ。