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五稜郭始末記異聞 ~北海道に行ってきました。

「浪曲案内 連続読み」 第13回

五稜郭始末記異聞 ~北海道に行ってきました。

助右衛門と熊吉、二人を結んだ縁は時を越えて浪曲へ(画:原えつお)

東家 一太郎

執筆者

東家 一太郎

執筆者プロフィール

北の街を作った男

 今年(2026年)の6月中旬から10日間ほど、私は曲師・東家美(みつ)とともに、北海道に行ってきました。これは毎年6月25日に函館で行われる函館碧血碑(へっけつひ)碑前慰霊祭に参列するためです。合わせて、今年も札幌と函館で「東家一太郎・美 浪曲会」を開催いただきました。

 今回は特に、札幌公演は2年目ということで、札幌ゆかりの人物の新作浪曲を作って初披露することになりました。その人物とは、大工棟梁の大岡助右衛門(おおおかすけえもん)。札幌の街を作った男の一人です。

 助右衛門は、1836年(天保7年)に武蔵国久良岐郡、いまの横浜市南区の大岡村の農家に生まれます。あのあたりは江戸時代に海を埋め立てて、新田開発をしたところです。助右衛門は農家は継がず、大工になって江戸へ行きます。

 この助右衛門の経歴に、私は少し縁があります。大岡村は蒔田(まいた)とか弘明寺(ぐみょうじ)周辺なのですが、蒔田の旅館「松島」さんには、師匠の代から私もお世話になっています。そのご縁で蒔田の吉良氏の新作浪曲を書きましたが、その吉良氏の菩提寺・勝國寺に私の母方の先祖の墓があります。

 また私の曽祖父も横浜の生まれで、大工でした。生まれは明治の半ばくらいだと思いますので、年代は違いますが、もしかしたらどこかで助右衛門さんと縁があったかもしれません。その当時の叩き上げの大工というのは、道具箱一つを担いで、あちこちに仕事に行ったそう。自分の腕一つで稼ぐ。かっこいい商売です。