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五稜郭始末記異聞 ~北海道に行ってきました。

「浪曲案内 連続読み」 第13回

助さん、熊さんの出会い

 助右衛門は中川組の大工頭として、蝦夷地・箱館へとやって来ます。道具箱一つで北の地へ、かっこいいじゃあーりませんか。

 当時の蝦夷地と云えば、箱館が拠点。札幌は、まだ未開の土地です。北方ロシアからの守りを固めるために作られましたのが、箱館の五稜郭(ごりょうかく)。星の形をした日本初の西洋式の城郭です。

 幕末とはいえ、江戸時代に新しいお城を建てることに、建築工事に集まった人たちは血をたぎらせて、ワクワクしたと思います。もちろん、それだけお金を稼げる大きな仕事。これだけの工事ですので、いろんな職業、腕に技を持った沢山の人たちが携わります。設計者、大工、とび職人、左官、石工、人足。

 豊臣秀吉の『太閤記』に「三日普請」、みんなで協力して城の修繕をするという演目がありますが、そのような感じでしょう。

 この五稜郭の工事現場で、22歳の大岡助右衛門はある人物と出会います。その男こそ、浅草生まれの人入れ元締稼業、柳川熊吉(やながわくまきち)。

 元締というのは、工事に必要な人足、つまり労働のための人材を派遣する仕事です。この時、熊吉33歳。助右衛門の腕の良さに惚れ込んだのか、熊吉の人心掌握力や漢気に尊敬の眼差しを持ったのか、熊さん、助さんは意気投合して兄弟分となります。

 もっとも、二人とも博打が相当好きだったそうですので、熊さんの賭場に助さんが毎日通って仲良くなったのでしょう。料理自慢の熊吉が振る舞うドジョウ鍋(柳川鍋)を箸でつついて酒を呑み、大工としての夢を話す、若き日の助右衛門の姿が目に浮かぶようです。