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ニッポンの祭りを呑む

「二藍の文箱」 第17回

ニッポンの祭りを呑む

祭りは、久しぶりを「おかえり」に変えてくれる(版画:ひびのさなこ)

三遊亭 司

執筆者

三遊亭 司

執筆者プロフィール

 「三遊亭 司 ニッポンの祭りを呑む――」

 ローカルテレビ番組の名前でもなければ、落語会やトークイベントのタイトルでもなく、こんなことを言っては、さまざまな祭りに行って、ただ、酒を呑んできた。時にはひとりで、時には仲間と。

 祭り自慢は、国自慢だ。自慢話は得てして敬遠されるものだが、お国自慢は別だろう。その土地で、その土地の酒を呑み、その土地の言葉で聞く国自慢は、やはり、いい。日本全国津々浦々、神社仏閣がないところはまずない。そうなると、大なり小なり祭りもあって、祭祀につきものの酒をつくる酒蔵、造り酒屋もきっとある。

 9月の大型連休の初日となる土曜日。水戸の先の勝田の敬老会で弟子の歌坊とわたし、それぞれ一席勤めてその帰り、一年ぶりに石岡の駅に降り立つと、街のあちこちから独特のお囃子の音が聞こえてくる。

 連休の初日が「石岡のお祭り」と呼ばれる、常陸国総社宮例大祭の初日だ。

 茨城の石岡には不思議なご縁があって、羽田の幼馴染で落語好きが石岡消防署に赴任となって、やはり落語好きの仕事仲間ら有志のみなさんに石岡に呼んでいただき、落語会をひらいていただいたことがある。

 空襲のなかった石岡の街には、昭和初期の戦前の建物がいまでも多く残る。その時、会場となったのも昭和5年(1930年)に建てられた久松商店だった建物。現在は「すずめや」という袋物や手ぬぐい、ダボシャツの仕立てをなさっているお店で、確かご主人のお父様は石岡で獅子をつくっていると、その時伺った憶えがある。

 石岡の祭りに獅子はつきものだ。獅子と言っても、正月や慶事で見る獅子舞の獅子頭よりもひとまわりもふたまわりも大きい。大型の荷車に小屋と布の胴幕をつけた「幌獅子(ほろじし)」と呼ばれる獅子が、30台以上街を練る。その獅子頭だ。