NEW

破門のこと、初高座のこと

「二藍の文箱」 第18回

破門のこと、初高座のこと

巻き戻せぬ時間を越えて、噺は生き続ける(画:ひびのさなこ)

三遊亭 司

執筆者

三遊亭 司

執筆者プロフィール

 平成10年(1998年)、10月31日は土曜日だった。

 弟子の歌坊の三度目ぐらいの高座の時に「いまに何席演ったかなんてわからなくなるから」と彼に言ったが、わたしも初高座のその日からきょうまで何席演ったか、もはや覚えてもいないし、辿る術もない。

 平成10年の10月31日、池袋演芸場。

 ここで『道灌』をかけたのが、わたしの藝道のはじまりとなった。

 この源泉のひと雫が、これも実際の大河と同じように、一旦は途切れたように見えたが、地下では脈々とまではいかずとも細々と流れていたようで、きょうまで絶えず流れているということになる。

 一旦途切れたように見えた──要は2000年の6月、わたしは破門になった。

 わたしはそう強い人間ではないので、エゴサーチというものをまずしない。それでも、自分のことで知りたいことがあれば、ネットで検索する必要が出てくる。

 そうすると、よく検索されているワードが、予測として出てくる。

 「三遊亭司」
 「三遊亭司 破門」
 「三遊亭司 破門 理由」

 以前は落語協会のホームページのプロフィールに、「2000年6月破門」と書いていたが、ある時、酒席で「あなたは正直なつもりだろうが、プロフィールはアピールするものではないのか」と言われ、まぁ、それもそうだといまはそこに触れていない。