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破門のこと、初高座のこと

「二藍の文箱」 第18回

 確かに、書いてないのと隠しているのは全くちがう。

 それ以降もはなしをする機会があれば、隠すことなく……と言うよりも、避けて通れないので、破門については触れることになる。

 いつだったか、柳家三語楼が「破門っていうのは、死刑ってことですからね」と言っていたが、さようさよう、ごもっともごもっとも、あとは、なかなか。この世界で破門は、死刑に等しい。いささか時流が変わっても、破門されたわたし自身がそう思う。破門というのは響きにしても、実情にしても、それほどに重い。

 なので、楽屋雀の間では「師匠の女に手をつけた」だの「金を使いこんだ」だの言われていたらしいが、破門のきっかけになったことは「寄席をサボった」であり、それをきっかけに、わたしが師匠に「嘘をついた」ということだ。その重さは、いまのわたしだけでなく、当時のわたしでも十分に理解できていた。

 師匠の死で勘気がゆりて戻ってきたのではなく、田端に出入りが許されたのは五代目襲名がきっかけだ。

 破門された分際で、本来は先師から習った噺は演るべきではないし、演ることが許されないのかもしれないが、実際のところ師匠から習った噺はいまでも高座でよくかける。

 それどころか、一番最初に習った『道灌』に関しては、わたしが一番最初に師匠、桂三木助から習ったように──あるいは三木助が五代目柳家小さんに稽古をつけてもらったように──この噺を歌坊にも稽古をつけた。