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善財童子

「くだらな観音菩薩」 第17回

善財童子

画:林家きく麿

林家 きく麿

執筆者

林家 きく麿

執筆者プロフィール

ごま煎餅と小さな幸せ

 おはようございますの方も、こんにちわの方も、こんばんわの方も、おはようございます。林家きく麿です。

 自転車によく乗る。片道1時間くらいなら自転車で移動したい気持ちで溢れている。自転車が好きなわけではない。お膝が痛いからです。

 「なら痩せれば。楽になるんじゃない?」とよく言われる。

 言われなくても、痩せるつもりはある。でも一枚だけ食べようと思ったお煎餅を、無意識に一袋食べてしまえる気力がまだあるから、なかなか難しい。

 人生とは、不条理なものである。

 一袋100円で売っている、親指と中指でCの形を作ったくらいの大きさのごま煎餅を口の中に入れて、噛まずにそのままクルクル回転させると、口の中でまあまあの大きさになる。

 コーシャコシャ、コーシャコシャと音を立てながら、醤油の味がなくなるまで回転させる。そうすると少しフニャッとした食感になってくる。その味の薄くなった煎餅をフシャフシャ(少し食感があるのでフニャフニャではない)と噛み締める。

 味がないので、あまり美味しいとは言えない。

 しかし、もやし、案山子!

 味がなくなるまで口の中で回転させたお煎餅は、十月十日(とつきとおか)お腹の中で育ってくれた子供のように可愛くなる。

 そのお煎餅の命を、ありがたくいただく。涙を流すことはない。たかが煎餅だということは、理解している。

 これが当代の髙田家(私の本名は髙田大輔だよ)の正しいごま煎餅の食べ方である。このごま煎餅のコーシャコシャ食いを一袋やると、ゆうに1時間は時間が潰せる。パチスロで大負けして、何もやりたくない時なんかにはぴったりである。

 おそらく先代はやっていない。次代もやるとは思えないが、髙田家の過去帳には、「ごま煎餅の28代目」と書かれると思う。