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2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)

月刊「浪曲つれづれ」 第16回

2026年9月のつれづれ(奈々福がうなる日本国憲法、玉川太福と玉川祐子のテレビ出演、東家三可子・東家千春の挑戦)

奈々福と広沢美舟が挑む、かつてない舞台

杉江 松恋

執筆者

杉江 松恋

執筆者プロフィール

憲法をうなる、前代未聞の浪曲会

 これは浪曲、いや古典芸能全体でも類例のない試みになるのではないかと思う。

 9月9日に発売された雑誌『サライ』2026年10月号において、ある浪曲会についての情報が解禁になった。題して、「奈々福、日本国憲法をうなる」、関東浪曲界の重鎮である奈々福が、昭和22(1947)年5月3日に施行された『日本国憲法』を抜き読みするという会だ。

 早々に種明かしをしてしまえば、この会を企画し、奈々福に開催打診を持ちかけたのは、杉江松恋だった。

 奈々福は社会人としての第一歩を、出版社勤務の編集者として踏み出した。初めに担当したのが全集の編集で、錚々たる文学者と出会い、揉まれて日本語で文章を紡ぐ美しさ、難しさを知ったのである。

 その奈々福が『日本国憲法』が格調高い日本語で書かれていること、殊に前文の美しさに着目していることを知り、依頼するとしたらこの人しかいないと考えたのである。その思いを演者に受け止めてもらえたことから、この会が決定した。

 言うまでもなく『日本国憲法』は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則を柱とする国の最高法規である。もっと平たく言えば、この国に暮らす人々がどのように規定され、どういう存在であるかを規定した法律だ。どんな会にも会則があり、それに従って会員は行動することを求められる。

 その基本中の基本と言ってもいい、日本国憲法の全文に目を通したことがある国民がどれくらいいるだろうか。おそらく、何割もいないのではないかと思う。これは非常にもったいないことだ。なぜならば奈々福の言うように、文章がとても美しいからである。