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情熱に出会い、魂を語る 神田紅(中編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第45回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/08/10
神田紅の高座姿(神田紅・提供)
一時期、絶滅危惧種とまで言われるも、現在、東西合わせて120名を超えるまでになった講釈師。江戸から明治、大正、昭和と、主に男性が読み継いできた芸であったが、平成、令和と時代を経て、女性目線による女性の講談が世に送り出されてきた。その時、講釈師は何を考え、何を読んできたのか。第一線で活躍する女性講釈師に尋ねてみた。〈神田紅(かんだくれない)先生の前編/中編/後編のうちの中編〉
恥辱を力に変えた先駆者
日本近代女医の草分けである荻野吟子(おぎのぎんこ)は、1851年(嘉永4年)に武蔵国幡羅郡俵瀬村(現在の埼玉県熊谷市俵瀬)に生まれた。自分が病気になった時の体験から、女性の医者の必要性を痛感。苦難の道を歩みながら女医になることを決心した。
東京女子師範学校に入学後、私立医学校の好寿院(こうじゅいん)に進むも、内務省の医術開業試験受験を拒否される。1884年(明治17年)と1885年(明治18年)の試験に合格し、女性では日本最初の医籍登録者となる。
婦人運動にも関与して、婦人の地位向上に寄与し、1894年(明治27年)に二人目の夫である志方之善(しかたゆきよし)とともに北海道に渡り、瀬棚郡瀬棚(現在のせたな町)に開業。1908年(明治41年)に東京へ移り、小梅町で開業するも、1913年(大正2年)に没した。現在、埼玉県に「熊谷市立荻野吟子記念館」がある。
―― 私は近代の“女流文学”に迫っていた時期もあり、近代特有の男尊女卑の時代での女性の活躍に注目しています。
紅 荻野吟子を描いた小説に登場するのですが、婦人科治療を受けるために病院へ行って、いくら仕切りがあったとしても、男性医師の前で足を広げなくてはならない恥ずかしさがあった。
私も20歳くらいの時に経験しているんですが、あれは屈辱以外のなにものでもない。だから私はいまだに婦人科は女医さんのところにしか行きません。
吟子にしてみれば、ショックのあまり何も覚えていないけれど、その時の恥ずかしさがエネルギーとなる。その恥ずかしさは時代を超えても変わらないはずです。彼女に病をうつした夫はどうなのか。
そういえば、うちの師匠も若い頃にかかったことがあるそうで、「紅君、僕は淋(さび)しい病気になったことがある」「師匠、男の人ってどうやって治すんですか」「サウナに入って、熱療法で治すんだ。汗をいっぱいかいてね、箱サウナに入って、何回か続けている間に治っちゃうんだよ」。男の人って簡単に治るんだなあと思いました(笑)。
でも当時は女性の療治の方法はあまりよくわかっていなかった。タブーだったんですよ。このあたりもお医者さんに尋ねてみたいと思っています。
―― 講談として、面白くなりそうですか。
紅 何とかして、面白くしなければ!と、今、格闘しているところです。

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