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情熱に出会い、魂を語る 神田紅(中編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第45回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/08/10
情熱に取り憑く創作術
―― 人物伝を講談化していく時に心に留めていることはありますか。
紅 その人の気持ちに入り込み、のめり込むということです。情熱に取り憑くように書いていくことです。
―― やはり自分でのめり込んで書いていくことが必要なんですね。
紅 私が一番ここをやりたい!というところは、自分にしか書けません。ほかの人に書いてもらうこともあったんですが、見ているところが違うんです。いくら指摘しても思うようにはならない、というのがこれまでの経験でわかったことです。それでは書いていただいた方にも失礼になってしまいますから、今は自分で書いています。
それに一回高座でかけて、それで満足している訳ではないんですよ。「高座百遍」と言われるように、読んでいくと毎回変わっていく。ここはもっと削って、ここを膨らまそうとか、だから読んでいくうちに大分変わっていくんです。
―― 書いたものが一つの作品として、変わっていくことはやはり大切だと思われますか。
紅 当然ではないでしょうか。一番自分の言いたいところにクローズアップしながら、聴きやすいように編集していくことは大切です。
最初は通り一遍、その人の人生を全部語りたいと思ってしまうんですよ。だから40分、50分もかかる大作になるんですけど、お聴きになっているお客様も退屈していることがわかってきますし、自分もここは要らないなと思うところが出てくるので、外していきます。そうすることで、自分の言いたいところをクローズアップできるように変わっていくんです。

―― 話は生き物でもありますから、TPOによって変わっていくでしょうし、だからこそ話芸は楽しいのだと思っています。
紅 変化の積み重ねがその人のモノになる。でも、私は物を書くのが苦手だから……。
―― そうなんですか? それは意外です。でも、だからこそ丁寧な作品が生まれるのだと思います。荻野吟子、楽しみですね。
紅 ぜひ、聴きに来ていただきたい。その前に書かなくては(笑)。
次に、これまで手掛けてきた創作講談について尋ねてみた。紅の近著『紅流 女講談師として生きて』(クラウドブックス)を参考にすると、次項で挙げる作品のほかに、これまで『川上音二郎(かわかみおとじろう)』『中村ハル』『高松凌雲(たかまつりょううん)』『出光佐三(いでみつさぞう)』『古賀政男(こがまさお)』『松井須磨子(まついすまこ)』といった作品を送り出してきた。
そこで筆者が聴いてきた紅講談の中から個人的なベスト3を挙げ、それぞれの作品への思いについて話してもらった。
いま読まれています!
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