二階から
「コソメキネマ」 第十六回
- 浪曲
港家 小そめ
2026/08/23
今回は「馬の脚」専門の旅役者の矜持と哀愁を描く映画をご紹介
木馬亭と木馬館
浪曲定席という浪曲の寄席が毎月1日から7日まで、浅草の「木馬亭」(もくばてい)という場所で開催されています。浪曲定席が始まったのは、1970年(昭和45年)。50年以上、浪曲を支えてきた場所です。また、その二階は「木馬館」(もくばかん)という大衆演劇の劇場となっています。
木馬亭・木馬館の名前の由来ですが、もともとこちらの一階に回転木馬の遊技場がありました。調べたところ、明治期に昆虫館として始まり、1922年(大正11年)に回転木馬が設置されて「昆虫木馬館」になり、その後、昆虫館がなくなり、二階は安来節の興行、一階は回転木馬で戦後まで続いたようです。
現在103歳の玉川祐子師匠は、10代で浅草の鈴木照子師匠に入門し、修業中は照子師匠のお姉さんの子供を子守しながら、この木馬館の回転木馬に乗るのが楽しみだったそうです。江戸川乱歩の短編『木馬は廻る』にも木馬館が出てきます。
木馬亭になる前は、映画館だったこともあるそうで、今でも場内のあちこちにその名残があります。
二階で大衆演劇が始まったのは、1977年(昭和52年)。浪曲は男性のお客様が多いですが、大衆演劇はまったく逆で、女性のお客様が圧倒的多数。木馬館と間違えていらっしゃる方も時々いるので、木戸も心得ていて、二人連れの女性などがいらっしゃると、「浪曲ですが、よろしいですか?」とたずねているのを見かけます。

二つの顔
大衆演劇を初めて観たのは、30年以上前でしょうか。客席も役者も強烈で、お札のネックレスがいくつもかけられたり、紙袋に小銭を包んだおひねりが大量に入っていて、それが紙袋ごと投げ込まれたり。濃厚な芝居空間に圧倒されました。
その頃、観ていた大衆演劇のお芝居は、それが良いところでも、好きなところでもあるのですが、わかりやすくて内容が似ているものも多く、時間が経つと忘れてしまう芝居も多々ありました。
そんな中で、とても印象に残った芝居がありました。話も凝っていて、面白いなぁとワクワクしながら観ました。主役を演じていたのが、小泉のぼるさんという役者さん。
それから長い間、大衆演劇からは足が遠のいていましたが、浪曲界に入り、劇場が近くなったこともあり、また大衆演劇を観るようになりました。役者も客席も随分スマートになったなぁと思いました。改めて観始めて、好きになったのは「たつみ演劇BOX」。大変人気のある劇団です。
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