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二階から

「コソメキネマ」 第十六回

 中心を担っているのが、座長の小泉たつみさんと、小泉ダイヤさんというご兄弟。その上に辰己小龍さんというお姉さんがいて、この三姉弟、それぞれ違う個性と花がある魅力的な役者さんです。

 お三方とも大変芸達者で、二枚目から三枚目まで、時には性別も超えて演じ分ける。芝居がうまい上に、きちんと生の感情が見えるところが、観ている人が引き込まれる理由かなと思います。お芝居も、舞踊ショーも毎回様々な工夫があり、凄い。

 しばらく観ていくうちに、このお三方が二十年前に観た小泉のぼるさんの娘さんと息子さんということがわかり、大きくなった親戚の子を見るような気持ちに。そして、あの芝居を思い出し、また観たいなと思いました。しかし、日替わりで何百もある芝居、明日当たるかもしれないし、一生当たらないかも。大まかなストーリーは覚えているけれど、タイトルは覚えていない。いつか観られたらいいなと思っていました。

 それから3年ほど経った頃、ある時、張り出された演目に引っかかるタイトルが。「二つの顔」という外題でした。もしやと思い、ドキドキしながら客席に座ると、当たりでした。間違いなくあの時のお芝居でした。観ていくうちに、主役を務めた小泉ダイヤさんに、あの時観た小泉のぼるさんが二重画像のようにダブって見えました。ああ、確かにあの時のあの役者さんの息子さんだ。

 偶然ですが、「二つの顔」というのはなんてぴったりなタイトル。あまりに嬉しくて終演後、もう一人の息子さんである小泉たつみさんに声をかけさせていただきました。タイトルも昔と変えて、上演するのも久しぶりとのこと。過去と現在が繋がった面白い体験でした。

紺屋高尾

 前座の頃、木馬亭の裏口に、グラスに入ったジュースを銀色のトレーに大量に載せた人がやってきました。

 近所の喫茶店の方で、「二階の橘大五郎座長から国本武春師匠へ差し入れです」とのこと。お盆を受け取って、武春師匠にお伝えすると、知り合いということでもないようで、首を少しかしげながら、じゃあ、後でお礼に行かないと、と仰っていました。

 しばらくして、二階の木馬館に出演中の橘大五郎座長の橘菊太郎劇団に、国本武春師匠がゲスト出演することに。後で聞いた話によると、ジュースのお礼に武春師匠が二階へ挨拶に行ったのがきっかけとのこと。

 大五郎座長がもともと武春師匠の「紺屋高尾」が大好きで、ご出演されているのを知って差し入れしたとのことでした。