自己紹介 ①

三遊亭朝橘の「朝橘目線」 第3回

桃屋の前で、私はそっと敬礼する

 分解したり、壊したりは日常茶飯事だったみたいです。私はまるで覚えておりませんが、父のオーディオ機器をバラバラに分解する事件も起こしたらしいです。バラバラになる前に気づいて止めない方もどうかと思うのですが。

 力任せに壊すというより丹念に根気強く、純粋な好奇心であれこれ試した終着駅が分解、だったのだと推測します。

 うちの車の運転席がたまたま施錠されていないのを目ざとく見つけ、素早く運転席に乗り込み、持ち前の好奇心を活かして色々やろうとしたところを父に発見され、死ぬほど怒られたこともありました。

 これは非常に悪趣味ですが、蟻を見つけると触角を引き抜いて、どうなるか繰り返し検証する活動もよくやっていました。それに対する罪悪感は未だに抜けず、うちの子やそのお友達が公園でアリさんをいじめているのを見ると必ず止めます。

 ちなみに私のバラバラ癖は次女が継承してしまいました。次女は何かと私にそっくりで、不安しかありません。

 この頃の私はまた、とても病弱でした。鼻炎に喘息、アトピーに蕁麻疹。アレルギー性の疾患をいくつも抱えた、か弱い子だったそうです。特に喘息は辛かったのを今でも思い出します。発作がひどく、県外の病院に担ぎ込まれたこともあったとか。幸い、そっち関係は娘たちに(今のところは)受け継がれてなさそうなので、そこは安心しております。

 食も細く、偏食もひどかったようで、桃屋の「ごはんですよ」海苔の佃煮ですね。あれでなら白飯を食したそうで、桃屋がなければ私は死んでいたかもしれません。

 今、ひょんなことから桃屋の本社近くに住まわせていただいております。前を通るたびに、心の中で敬礼しています。桃屋は、私の命の恩人です。