鈴之助の弟子入り志願物語 (前編)

鈴々舎馬風一門 入門物語

テロップに流れる「大道具 飯田弘幸」

 とにかく大道具の中で目立とうと思って、私はスキンヘッドにしていましたが、もっとインパクトを出そうと考え、ある日、日焼けしてワイルドになろうと湘南海岸に行きました。

 砂浜で寝て焼こうとしたのですが、夜勤明けで爆睡してしまい、気づけば表は真っ赤、裏は真っ白という異様な焼け方に……。その結果、ガンダムの「赤い彗星」ならぬ「赤いタコ」と変なあだ名をつけられて、別の意味で目立ってしまいました。

 しばらくして渡辺徹さんと山田邦子さんの二人でやっていた『いきなり!フライデーナイト』の大道具の担当をすることになり、収録に参加。番組のエンディングのテロップに「大道具 飯田弘幸」と流れた瞬間の感動は今でも鮮明に覚えています。

 大道具の仲間の中には、私と同じく芸人やミュージシャン、役者を目指している人たちがたくさんいました。しかし、「ここで働いていても夢に届かない」と感じて辞めていく人も多く、そんな中、私も大道具を辞める決意をします。

 辞める直前、『夜のヒットスタジオ』の大道具を担当していた先輩が松田聖子さんのサインを記念にプレゼントしてくれました。それは、夢を追い続けていた日々の証として、今も大切にしています。

退職時に先輩からいただいた
 松田聖子さんのサイン

(後編に続く)