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そうめんの違いがわからない男、専門店へ行く
「かけはしのしゅんのはなし」 第2回
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そうめん、全部優勝の午後
程なくして、セイロにのったそうめんが到着。麺は、一口サイズにまとめられた八文字で、ご丁寧に、麺の種類がわかるようにしていただく心遣い。ありがとうございます。
まずはベーシックを麺本来の味を楽しむため、何もつけずに、勢い良く口の中へズルッとすする。つるつるした口触りだけでなく、よく冷やされた麺がキュッとしまっていて、そうめんなのにコシを感じる歯ごたえ。確かに、専門店にふさわしい味わい。
ただ、麺つゆで食べたい(笑)。見栄を張って、背伸びしました。本来は、ベチャベチャに麺つゆをつけるタイプです。改めて、麺つゆで食べる。美味しい! あっという間に食べ尽くしてしまいそう。
しかし、今回は食べ比べ。はやる思いを抑えて水を飲み、口を改めてから一つ上のランクのそうめんへ。北海道産小麦を100%使ったこのそうめんは、香りが違うとのこと。麺つゆをちょんちょんとつけて、口の中へ。美味しい! これもあっという間に食べ尽くしてしまいそう。
また水を飲み、いよいよ最高級そうめんへ。とにかく原材料が良いらしい。麺つゆをつけて口の中へ。美味しい!! これは三つとも美味しい!!!……のだが、バカ舌炸裂で違いがわからない。試しに、最高級からベーシックを続けて食べたけれども、全くわからない。店員さんがイタズラで三種類入れ替えたとしてもわからない。
ほどなく気を取り直し、ごま豆乳つゆで食べてみたら、これまた美味しい! 豆乳のコクが練りごまとよく合っていて、ほど良い辛味が後を引く美味しさ。麺つゆより好みかも。ただ、麺の違いを感じるのは、もはや不可能。圧倒的なごま豆乳の主張の強さ。
トマトつゆもすごく美味しかった。でもやはり、麺の違いはわからない。結果、みんな100点! コンテストの審査員にむいていないタイプ。これでいいのか……と、己に問いながら帰宅。いや、そもそも大事なことは、家庭との比較だから、みんな100点でいいんですよね。
夕食もそうめん。いつものそうめん。大皿にのったそうめんを箸で取り、一旦、深呼吸。そうめんをつゆにつける。口に箸を近づけ目をつぶり、勢い良くズルッとすする。
……美味しい。100点。結論、そうめんは美味しい!