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メタバースと落語
「古今亭佑輔とメタバースの世界」 第1回
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筆者のもう1つの顔、瑠璃茉莉ruly(古今亭佑輔・提供)
仮想空間で紡ぐ新たな物語
誰しも沢山の顔があり、名前がある。
社会的な責任や役割によって、それぞれが顔や名前を使い分けている。自分も落語家・古今亭佑輔と、本名・高橋友里恵という名前を持っている。そして、それらは近くもあるが、自分としては、かなり違う顔をしていると感じている。
それらが上手く作用せず、年相応に悩んでいた時期もあるけれど、今は比較的、自分の顔と上手く付き合っていると思う。人によっては、その顔と実在の自分とのギャップに悩まされたりしている人も少なくないだろう。
なぜこんな話をするのかというと、タイトルに「メタバース」というカタカナを急に差し込んでしまい、皆様が困惑しないようにメタバースとは何か説明したいからである。少々馴染みのない言葉かと思うが、しばしお付き合いを願いたい。
最近、もう1つ増えた顔がある。それは、メタバースの世界の「顔(アバター)」だ。メタバースとは、「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を掛け合わせた造語で、3次元のVR(Virtual Reality:仮想現実)のことである。
「VRChat(ブイアール・チャット)」というプラットフォームを使用して、「瑠璃茉莉ruly」という名前で2025年1月から活動を始めた。プロだということは公言しつつ、芸名は非公開にしており、つい先日、半年を記念にVR上で芸名を公表したところである。
なぜ半年間、公表しなかったかというと、メタバースでプロとして活動するための基盤作りが単純にできていなかったからであり、特別な意図があったわけではない。
毎月開催する「VRC落語会」は、定員80人が1分とたたずに埋まる人気イベントとして認知されるようになってきた。
