大河

「座布団の片隅から」 第9回

大河

橋本愛さんのメガネは国宝に指定してほしい

三遊亭 好二郎

執筆者

三遊亭 好二郎

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蔦重が残していった、噺家への置き土産

 NHK大河ドラマ『べらぼう』が終わってしまった……。

 絶賛「べらぼうロス」の最中である。毎週楽しみにしていた方も多いだろう。もう橋本愛さん演じる、おていさんのあのメガネ姿を拝見できないのかと思うと寂しい。あんな珍妙なメガネ、後にも先にも橋本愛さんしか似合わないだろう。「ごはんですよ!」のキャラクターだって今時、もう少しオシャレなメガネをかけている。

 『べらぼう』は、横浜流星さん演じる江戸中期のメディア王、蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)が主人公。話の舞台は吉原(後半から日本橋)。この吉原から蔦屋重三郎がいかにして世に躍り出ていったかを痛快に描いた傑作だった。実は今、私が住んでいる場所が吉原の近所なのだ。吉原は大河ドラマ効果で観光客が増えたらしい。特に、横浜流星さんのファン、通称「流星群」が聖地巡礼で訪れることも多かったそうだ。

 にしても、ファンの呼称が「流星群」って! ずるい!! だいたい「流星」という名前がカッコイイから、後に何をつけても響きが良くなるじゃん。「好二郎」ではこうはいかない。もし僕がファンの呼称をつけると「ジロリアン」になってしまう。これではただのラーメン二郎好きだ。

 場所柄、吉原を歩きにくいという方がいたら、対策をお教えしよう。コンビニのレジ袋を持ってスウェットで歩くと地元感が出て、客引きに声をかけられにくくなるぞ! 覚えておこう。

 ある師匠が、「今年は大河ドラマのおかげで廓噺(くるわばなし)がやりやすかったよなぁ」とおっしゃっていた。「廓噺」とは、吉原が舞台の落語である。『紺屋高尾』『お見立て』『明烏』……どれも古典落語の名作揃いである。私も廓噺は大好きなのだが、現代において当時の吉原を知っている人はあまりいない。

 まして東京以外の土地で落語会をやると、そもそも吉原自体に馴染みがないので、『べらぼう』放送以前は説明するのに難儀することがあった。それが大河ドラマで舞台を再現してくださったおかげで、絵が見えるお客様が増えたのだろう。わざわざ詳しく説明せずとも、お客様に伝わるようになった気がする。

 噺家にとっても今年の大河の恩恵は多大にあった。