三味線と 浪曲唸って 二刀流 弾く手あまたな 伊丹秀敏
「浪曲案内 連続読み」 第9回
- 浪曲
東家 一太郎
2026/01/23
浪曲界になくてはならぬ存在だった師匠。ありがとうございました(画:原えつお)
木馬亭を支え続けた存在
2025年(令和7年)12月29日、新聞に訃報が載った。
フランス俳優ブリジット・バルドーさん死去、91歳。
伊丹秀敏(いたみ ひでとし)氏、浪曲曲師、90歳、24日死去。
B・バルドーの隣りだなんて。秀敏師匠らしい、粋でスマートな最期だ。
佐賀県生まれ。1945年(昭和20年)、浪曲師として二代目 天中軒雲月(後の伊丹秀子)に入門。曲師(浪曲の三味線奏者)にもなり、松平国十郎や東家浦太郎、東家三楽さんの三味線を弾いた。浪曲師としては浜乃一舟(はまの いっしゅう)の名前で活動した。
訃報は、生まれ故郷、九州の西日本新聞にも掲載された。

正直、秀敏師匠という人は、亡くならない人だと思っていた。
2024年(令和6年)の年末に転んで、頭を打って入院。2025年の春過ぎに高齢者施設に入居したが、7月に施設内で浪曲会。三味線を一席弾き、浪曲をひとふし唸り、最後は十八番、美空ひばりさんの「人生一路」を歌った。半年以上のブランクがあっても三味線の手と撥さばき、耳も声も少しも衰えておらず、名人とはこういうものかと驚いた。と同時に、秀敏師匠ならば絶対大丈夫という確信もあった。なぜならば、その芸は常人ではないからだ。

ご本名は常敏さん、あだ名は「常さん」だけれど。
昨年、お誕生日の3月8日に予定していた90歳、卒寿記念の会は延期になっていたが、今年3月浦安での公演では、昔の浦安亭という寄席についてのトークに参加していただこうと考えていたし、何より木馬亭定席へのご復帰を、私はずっと画策していた。
しかし、11月にインフルエンザにかかり、クリスマスイブの12月24日午前11時17分、誤嚥性肺炎のため、施設で亡くなった。
木馬亭浪曲定席の最後の舞台は、2024年12月5日、浜乃一舟として浪曲「記念の煙草」(曲師 東家美)。12月7日に、曲師 伊丹秀敏として、トリの東家三楽師匠の浪曲を弾いた。
90歳近くのご高齢だったが、全く歳を感じさせない。歩くのも早いし、つい最近までは、重い三味線を持って駅の階段を駆け上がっていたような印象だった。
舞台も7日間の木馬亭のうち、5日間は出て、1日2~3席は三味線を弾くというのを、ここ10年くらいやっていただいていた。ご年配を酷使している訳ではなく、それだけ引く手あまたの名人で、浪曲界になくてはならない師匠だった。
いま読まれています!
「令和らくご改造計画」
第七話 「若手人気落語家殺人事件 【解決編】」
~寛容な落語の世界、非寛容な現実の世界
三遊亭 ごはんつぶ
2026/02/13
「噺家渡世の余生な噺」 第10回
老害は老後から始まらない説 ~老害とヒエラルキー思考
~正しさより、立場を守る人たちへ
柳家 小志ん
2026/02/14
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「二藍の文箱」 第1回
入門前夜
~神様わたしに落語を授けてくださりありがとう
三遊亭 司
2025/06/02
「講談最前線」 第14回
2026年2月の最前線(聴講記:講談協会「初席」、日本講談協会「講談広小路亭」/2月と3月の注目の公演)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/02/15
「朝橘目線」 第10回
鼻の中 そこのけそこのけ お水が通る
~もっと早く出会いたかった、人類の叡智の結晶
三遊亭 朝橘
2026/02/08
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第10回
宇宙一の美人も風邪には勝てない
~たっぷりの愛情を込めて演芸界という濃密な世界を描く芸人日記
東家 千春
2026/02/03
「お恐れながら申し上げます」 第6回
早朝寄席のこと
~精一杯やりますので、ご来場をお待ちしております
入船亭 扇太
2026/02/11
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第25回
講談界を駆ける一鶴イズムの継承者 田辺銀冶(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/02/04
月刊「シン・道楽亭コラム」 第10回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト Part.2
~共同席亭という名称のひらめきと、橋本さんとの生前最後の面談詳細
シン・道楽亭
2026/02/10
月刊「浪曲つれづれ」 第10回
2026年2月のつれづれ(沢村豊子を偲ぶ会、玉川奈々福の徹底天保水滸伝、帯広浪曲学校)
~世界に一つだけの宝
杉江 松恋
2026/02/09
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「お恐れながら申し上げます」 第6回
早朝寄席のこと
~精一杯やりますので、ご来場をお待ちしております
入船亭 扇太
2026/02/11
「令和らくご改造計画」
第七話 「若手人気落語家殺人事件 【解決編】」
~寛容な落語の世界、非寛容な現実の世界
三遊亭 ごはんつぶ
2026/02/13
「二藍の文箱」 第9回
寄席、そちらとこちら
~寄席の客席と楽屋は、やさしさにあふれている
三遊亭 司
2026/02/02
「二藍の文箱」 第1回
入門前夜
~神様わたしに落語を授けてくださりありがとう
三遊亭 司
2025/06/02
月刊「シン・道楽亭コラム」 第7回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト
~すべては菊太楼師匠との駄話、駄飲みから始まった
シン・道楽亭
2025/11/13
「朝橘目線」 第10回
鼻の中 そこのけそこのけ お水が通る
~もっと早く出会いたかった、人類の叡智の結晶
三遊亭 朝橘
2026/02/08
「噺家渡世の余生な噺」 第10回
老害は老後から始まらない説 ~老害とヒエラルキー思考
~正しさより、立場を守る人たちへ
柳家 小志ん
2026/02/14
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【中編】
~伸びた鼻っ柱が折られた、小さん師匠のひと言
話楽生Web 編集部
2026/01/26
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【後編】
~急がず、無理にいじらず、忠実に磨き続ける。その姿勢がまっとうな芸を支える
話楽生Web 編集部
2026/01/27
月刊「シン・道楽亭コラム」 第10回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト Part.2
~共同席亭という名称のひらめきと、橋本さんとの生前最後の面談詳細
シン・道楽亭
2026/02/10
「二藍の文箱」 第9回
寄席、そちらとこちら
~寄席の客席と楽屋は、やさしさにあふれている
三遊亭 司
2026/02/02
「浪曲案内 連続読み」 第9回
三味線と 浪曲唸って 二刀流 弾く手あまたな 伊丹秀敏
~浪曲史に愛され、刻まれた最高の曲師
東家 一太郎
2026/01/23
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第7回
世間せまないか?
~落語家を多数輩出する片田舎、神戸の垂水
桂 三四郎
2026/02/01
「すずめのさえずり」 第七回
ない物ねだり ~小堀さんのこと~
~苦労を知らず、破天荒でない自分だから欲しくなる「向こう側」の人生
古今亭 志ん雀
2026/01/27
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第24回
講談界を駆ける一鶴イズムの継承者 田辺銀冶(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/02/03
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第10回
宇宙一の美人も風邪には勝てない
~たっぷりの愛情を込めて演芸界という濃密な世界を描く芸人日記
東家 千春
2026/02/03
シリーズ「思い出の味」 第19回
雪のココア
~内弟子時代に憧れた甘い味
柳家 わさび
2026/01/13
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「令和らくご改造計画」
第五話 「ヨセジャック事件」
~落語家にとってのマクラとは何か?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/12/12
シリーズ「思い出の味」 第15回
水茄子とジンジャーエール
~夏の青臭さ、生姜風味の泡沫が映す情景
林家 彦三
2025/11/25
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第4回
上方落語大会議「なんぼでなんぼ」
~苛酷な仕事、ギャラなんぼやったら行く?
桂 三四郎
2025/10/24
「テーマをもらえば考えます」 第6回
愛と裏切りのぬか床生活
~なぜ始めてしまったんだろう。この小忙しくなる年の瀬に
三遊亭 天どん
2026/01/31
編集部のオススメ
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【後編】
~急がず、無理にいじらず、忠実に磨き続ける。その姿勢がまっとうな芸を支える
話楽生Web 編集部
2026/01/27
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【中編】
~伸びた鼻っ柱が折られた、小さん師匠のひと言
話楽生Web 編集部
2026/01/26
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25
「浪曲案内 連続読み」 第9回
三味線と 浪曲唸って 二刀流 弾く手あまたな 伊丹秀敏
~浪曲史に愛され、刻まれた最高の曲師
東家 一太郎
2026/01/23
「くだらな観音菩薩」 第9回
伎芸天
~努力は報われるのか、裏切られるのか
林家 きく麿
2026/01/16
「講談最前線」 第14回
2026年1月の最前線(新春ご挨拶 : 宝井琴調・講談協会会長 & 神田紅・日本講談協会会長、今年の顔 : 田辺いちかインタビュー)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/01/15
シリーズ「思い出の味」 第19回
雪のココア
~内弟子時代に憧れた甘い味
柳家 わさび
2026/01/13
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第9回
昭和101年に寄せて ~落語は新しい!!
~落語を未来へ手渡す人々
シン・道楽亭
2026/01/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01