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第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」

「令和らくご改造計画」

第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」

絵:大熊2号

三遊亭 ごはんつぶ

執筆者

三遊亭 ごはんつぶ

執筆者プロフィール

#1

 落語家は「古典派」と「新作派」で分かれている。らしい。

 そして多くの人は、「古典派」の方が、より伝統的な存在だと思っている。

 ――この認識が、どうにも腑に落ちない。

 落語界は、ことあるごとに「江戸」を持ち出す。江戸の言葉、江戸の景色、江戸の情緒。江戸を知ることが、落語を知ることだ、と言わんばかりである。

 しかしそれならば、その江戸時代の落語事情に、いまの落語界は、どれほど本気で思いを馳せているのだろうか。

 江戸時代、落語が生まれたばかりの頃。その時代に「古典派」の落語家は、まだ存在していなかった。だが、「新作派」はいた。

 考えてみれば当たり前の話である。当時はすべての噺が、落語そのものが、生まれたてだったのだから。

 その頃の噺家たちは、今日ウケた噺を明日もやるとは限らない。昨日より面白いものをと、新しく書ける者は次々と根多(ネタ)を書き、書かない者は、生まれたばかりの新作落語に、どんな工夫ができるかを考える。

 みなが一丸となり、まだ形の定まっていない「落語」という芸を、必死に作り上げようとしていたに違いない。

 つまり、「新作派」は落語の歴史とともに、常に存在してきた。新作しか存在しなかったのだから当然である。その頃は、すべての噺家が新作落語に携わっていた。

 その積み重ねの結果として現在、(諸説はあるものの)二百~三百年の時を経て、「落語」は立派に成長した(もちろん、数世紀ぽっちの歴史で「完成」するわけもなく、まだまだ余地はある)。