後継

「座布団の片隅から」 第7回

後継

梅が咲く季節のように、心がほんのりと温かくなるケーキ

三遊亭 好二郎

執筆者

三遊亭 好二郎

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売れたかも?

 先日、久しぶりに地元、大分県九重町(ここのえまち)の実家に帰って感動したことがある。

 地元のお菓子屋さんに跡継ぎができたらしい。お店の名前は、「梅の家(うめのや)」。大分生まれの女優さん、桜井ユキさんが愛する店として日本テレビの番組『アナザースカイ』でも取り上げられたこともある地元の名店だ。

「梅の家」の外観。ものすごい逆光です(笑)

 はじめに、地元のことを少し語っておこう。僕のふるさと、大分県九重町は人口約8,000人の小さな町で、自然あふれる景色や温泉、高さが日本一の吊り橋などが名物だ。要するに、自然のあふれる田舎町である。そんな町で育つと、町内の方はほとんど顔見知りになる。

 落語会を開くと、両親がお客様をたくさん呼んでくれることもあり、だいたい毎回100人ぐらいのお客様が集まってくださる。100人というと、東京のちょっとした会場が埋まる程度であるが、侮るなかれ。これは町内の人口の1.25%の人が集まったということになる。

 これを仮に東京で置き換えて換算してみよう。東京の人口約1,426万人のうちの1.25%=17万8,250名も集まったことになるのだ!! すごい数字のマジックだ! めちゃくちゃ売れた気がする!!

 でも、逆算すると悲しい――。

 東京で僕の独演会を開催すると、だいたい40人ぐらい集まるだろうか。これは東京の人口で換算するとおよそ0.00023%ぐらいである。ということは九重町で換算すると、8,000人のうち0.0184人しか集まっていないことになる……。急に悲しくなってきた。

 なんだ、0.0184人って。もっと売れよう。