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その親子丼に用がある
シリーズ「思い出の味」 第3回
- 連載
- 落語

今も思い出す、懐かしい料理の味と、かけがえのない時間の記憶
前座時代の朝の風景
師匠に入門して三十年、その師匠の没後十三年が経つわけですが、ここ数年で前座の頃を思い出す機会が多い私です。そんな折に、このたび「思い出の味」というテーマでエッセイのご依頼をいただきました。やはり、師匠との話題になってしまいます。
私の師匠は、二代目の古今亭円菊。NHKの大河ドラマ『いだてん』で、ビートたけしさんが演じたのが古今亭志ん生師匠で、そのお弟子です。ちなみに『いだてん』で荒川良々さんが演じていた噺家が、師匠円菊の若い頃のイメージらしいのですが、私は『いだてん』を第1話で挫折してしまいまして、あいすみません。
令和の現在には、三代目の古今亭円菊が寄席で活躍しています。この方は、師匠のせがれさん。私からすると4~5年先輩にあたります。ですから若旦那であり、兄弟子、つまり兄さんです。
前座の頃は、師匠の家に毎朝通ったんですが、行くといるわけです。いるって言うか寝てまして、お昼ご飯ぐらいに起きてきてましたかね。まさにサラブレッド。いや、たいへんお世話になりました(本音もちょっと言いたくなりますが……)。

後列左が前座時代の筆者