ネットワークとご縁
古今亭佑輔とメタバースの世界 第2回
- 落語
古今亭 佑輔
2025/08/05
沢山の人に支えられているVR落語(左から2人目が筆者のアバター、瑠璃茉莉ruly)
出会いとご縁
貴方は人生において波に飲み込まれそうになった時、自分で舵を切りますか? それともあえて流されてみますか? 振り返ってみると、自分はまずは流されてみて、大切なところは自ら舵を切るということが多かった気がする。
「一人でできるなんて、落語って面白そう」
落語家になりたいと思った最初の動機の1つである。自分はあまりチームワークが得意ではない。しかし何かを創作したり表現したりするのは好きだ。落語は、自分一人ですべての役を演じる。もちろん師匠に噺を習うけれど、演出も脚本もすべて自分。そういう意味でも落語は最高だと思った。
楽しそうだという気持ちで、この世界に入った。いわゆる、ご縁である。
これらは入門前に感じたことで、今はそんな簡単なことではないと感じている。毎日、自分の未熟さと、落語の難しさに打ちのめされる日々だ。それだけではなく、この世界に入ってからは人に助けていただくことが本当に沢山あって、結局、自分でできることはごく僅かであることを知る。
だけど唯一、はじめから変わらないのは、落語が本当に楽しいことだ。芸を磨こうと思っても、きっと生涯かけても時間が足りないだろう。
仮想世界への誘い
そんな自分に、また波が訪れた。VR(Virtual Realityの略。仮想現実)との出会いである。実はVRを始めたのは、落語会に来てくれたRさんの一言がきっかけである。
「落語界って、年齢層に偏りがありますよね? 若い人に聴いてもらえるようなキッカケ作りをやってみませんか?」
なんだかセールスみたいだなぁと思ったけれど、常日頃から間口を広げたいと思っていた自分にとって、大きなきっかけとなった。それに自宅で落語ができるなら、自分がどんな体調でも、コロナのようにウイルスが世の中に蔓延しても落語ができる。何よりも一人でできるのが最高だと思った。
そこからRさんに色々なことを教わって、なんとかVRで落語をやるための環境を整えた。そして、Rさんから衝撃の一言が。
「来月、VRで英語落語をやりませんか?」
まだ始めたばかりなのに、わずか1ヵ月で落語を? しかも日本語ではなく、英語で?
Rさんは、VRJapan Toursという日本文化を海外に紹介するという団体のメンバーで、毎月ツアーを組んでいた。その中で落語ツアーをやってみないかとの提案だった。断ることもできたけれど、「失敗しても、やってみなくては」と思い、芸名を伏せることを条件にまずは波に乗ってみることにした。
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