NEW

夏の日の少年

三遊亭萬都の「マクラになるかも知れない話」 第1回

入道雲の向こうに、君たちはいた

 夏の日の少年たちよ。

 今、僕は大人になって、君たちのことがわからなくなってしまった。なぜ魚を追い、本棚から飛び、学校をサボっておばあちゃんちへ行くのか。わかりそうで、しかしもう本当のところはわからない気がする。

 でも君たちは、アスファルトが熱いからとか、蝉がうるさいからとか、入道雲が大きいからとか、そんな理由で冒険に出てしまうのだろう。

 夏の日の少年たちよ、気をつけて、いってらっしゃい。

絵:三遊亭萬都

(毎月25日頃、掲載予定)