ぴいたあぱん

「ずいひつかつどお」 第7回

憧れの世界

 子供の頃は、ピーター・パンがカッコよく見えた。

 空も飛ぶし、運動神経も良いしで羨ましい限りだ。考えてみたら空を飛ぶキャラクターほど、子供心をくすぐるものはない。鉄腕アトム、ウルトラマン、アンパンマン、タケちゃんマンなど、みな軒並み空を飛んでいる。今まで飛んでなかったキャラクターやロボットなどが何かのキッカケで空を飛び出すと、途端に人気が出たりすることもある。

 人間の空を飛ぶことへの憧れは何よりも大きいし、子供にとってその影響力は計り知れない。また大概のヒーローたちは拳を前に出してもの凄いスピードで空を飛ぶ。鉄腕アトムの最高速度はマッハ10だし、劇場版アンパンマンにいたってはマッハ23なので、よほど頑丈にできているに違いない。

 おそらくあのアンパン、相当硬いぞ。となるとあのアンパンを容易に噛み砕くカバオくんの咬合力は普通のカバの比ではないだろう。世界最強の動物はカバだという学者もいるが、あながち間違いではないかもしれない。

 私が子供の頃は、『ピーターパンの冒険』というアニメが放送されていた。日曜日の夜19時30分からの枠で、ハウス食品さんがスポンサーの『アルプスの少女ハイジ』や『あらいぐまラスカル』などと同じ世界名作劇場シリーズだった。

 このアニメはちょっと特殊で、元来は緑色でサヤエンドウみたいな服を着ているはずのピーター・パンが、ワンピースのルフィのような赤い服を身に纏っていた。毎週楽しみに見ていたが、私も子供だったので内容はあまり覚えていない。

 毎度、悪代官のフック船長を成敗して終わる、水戸黄門みたいな展開だったのではなかろうか。風車のティンカーベルが活躍し、くノ一のウェンディがお風呂に入って白い肌を見せるシーンがあったような気がしたが、考えたらウェンディは12歳だから、そんなお色気シーンはなかったかもしれない。

 最終話では、ウェンディは、ネバーランドからイギリスのロンドンに戻って大人になる。その子供をピーター・パンはネバーランドに連れていこうとする、そんな終わり方だそうだ。どちらかというと哀しみは描かずに、ほんの少しの寂しさと、新たな冒険が始まるワクワク感を匂わせるラストとなっている。