ぴいたあぱん

「ずいひつかつどお」 第7回

だけど大人にならなくちゃ

 童話劇にはじまってディズニーやハウス食品、あらゆるところが売り出したピーター・パンだが、現代の子はあまり知らないのではないだろうか。そもそも「子供のままでいたい」と思う子供など皆無と言っても等しい。

 『おばけのQ太郎』のオープニング曲にもこんな歌詞がある。

♪大人になんかならないよ
♪らしくないのがいいところ

 ピーター・パンもQちゃんも大人になりたくないと言っている。しかし間違ってはいけないのは、設定を考えたのは大人だということだ。毎日の事務仕事や人付き合い、税金の支払いや家事育児に疲れた大人が考えたことで、子供たちの本音は早く大人になりたいであり、妖怪人間の本音は早く人間になりたいなのだ。

 つまりこれらの作品は大人たちが経験してきた子供時代の楽しさを元にしているので、今の子供目線ではなく、昔の子供目線のものなのである。これは創作をする上で理解しておいた方が良いことである。

 ピーターパン症候群というのがある。年齢は大人なのに精神的に子供から抜け出せない状態だそうだ。責任からの逃避、感情のコントロールができない、対人関係の問題など、社会生活を快適に送るのに困難な思いをするらしい。世界的なスーパースター、マイケル・ジャクソンがそうだったらしい。マイケルくらい浮世離れしていれば何ら驚きはしないが、私にはそんな深刻な症状もないし、子供のままでいたいと思ったこともないからわからない。

 ただ試しにネットで「ピーターパン症候群診断」なるものをやってみたところ、軽くその傾向があると出た。もしかしたら、隠れ弱ピーターパン症候群予備役補欠の一人なのかもしれない。


 12月27日は、ピーター・パンの日。空想と冒険を思い出して、思えば遠くへ来たもんだと海援隊を歌う日だ。

 情報化社会、道を歩いているだけで目と耳と鼻と触覚と尻尾からあらゆる情報が入ってくるので、空想などする暇はないだろう。でもこの日だけはほんの数分だけ、空想をしてもいいのかもしれない。空想することで疲れた脳が若返ったり、クララが立ったりするかもしれない。たとえ手足を縛られアイアンメイデンに押し込まれても、頭の中は自由なのだ。

 大いに空想の大海原へ船を漕ぎ出そうじゃないか。

 おっと、書類揃えてメール返さなきゃ。年賀状も書かなきゃだし、家賃も払わなきゃだ。ああ、大人は忙しい。

(以上、敬称略)

(毎月28日頃、掲載予定)