〈書評〉 犯人と二人きり (高野和明 著)

「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第7回

〈書評〉 犯人と二人きり (高野和明 著)

頭の中で想像する面白さがぎっしり詰まった短編集!

笑福亭 茶光

執筆者

笑福亭 茶光

執筆者プロフィール

装画に唆られる短編集

 本の選び方として、何かの賞を受賞した作品や話題作、ジャンルやお気に入りの作家、または本は読みたいけど分厚すぎるのはちょっと……いや、分厚ければ分厚いほど興奮する、手ぶらでジーパンの後ろポケットに文庫本と財布だけを突っ込んで歩いてたらなんか格好良いから“突っ込む用の文庫本”がほしい、など。

 本の選び方も人それぞれ。

 毎月、読書感想文を書かせていただいているので、ジャンルや作家が偏るのはつまらないだろう。読書素人の私は本を選ぶのが楽しい反面、選ぶのはとても難しい。さぁ、どう選ぼうか?というわけで、今回はジャケ買い。

『犯人と二人きり』(高野和明・著)

 本の表紙、装画が不穏な感じで良い。また『犯人と二人きり』というタイトルも不気味で唆(そそ)られる。7つの作品が集まった短編小説。私のおすすめは、『ハードボイルドな小学生』。タイトル通り、ハードボイルドな小学生「折原」9歳がクラス内で起きた怪文書事件を調べる探偵モノ。

 先日、元『うしろシティ』というコンビの金子君と会った。あのキングオブコントの決勝にも進出したことがある実力派コンビ。落語ファンの皆さんにはあまり馴染みはないかと思ったが、調べると、平成30年に花形演芸会の銀賞を受賞していた。さすが実力派。

 彼らが現役でブイブイ言わせていた当時、新宿に「新宿角座」という松竹芸能の劇場があり、私も漫才師としてそこの舞台に上がっていた。

 靖国通りに面したビルの4階が角座。ライブが終わり、5階の楽屋に引き上げ、着替えを終えて、さぁ帰ろうかと窓から一階の出入口を覗き込むと、うしろシティの二人それぞれに、とんこつラーメンの一蘭より長いファンの出待ち行列ができている。それが当たり前の光景だった。

 一蘭より人気があっても、一蘭でフルタイム働いているフリーターより貧乏なのが若手芸人。