運と皆様のおかげです
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
- 落語
桂 三四郎
2026/01/01
伊勢神宮に初詣に行って、心が洗われました(画:大久保ナオ登)
すべて他人のせいにする落語家
基本的に僕たち落語家は、人のせいにする生き物だ。
ウケた時は必ずといっていいほど
「今日はいいお客さんやで」
「明るくて勘のいいお客さんやな」
とお客さんを褒める。
なんて控えめなんだろうと思うかもしれないが、そうじゃない。
すべてはウケが悪かった時に
「今日は客が悪いな」
「重い客やで」
と自分の力不足を棚に上げて責任を回避するための布石なのだ。
ウケて帰ってきた時に後輩に
「お~、俺の落語の腕めちゃくちゃすごいやろ!!」
と言う落語家はあんまりいない。
そんなこと言ってしまったら激滑りした時に
「あ~、兄さんの落語の腕めちゃくちゃしょぼいな……」
と思われるブーメランが飛んでくる。
ごくたまに、滑った時だけ
「今日の客はアホやな」
と言い放つ最低な落語家も存在する。
普通の落語家は、こんなこと絶対に言わない。
ただ、すべての落語家は心の中で同じことを思ってはいる……。
すべての落語家は心の中で
「ウケたら俺の手柄!! 滑った時は客のせい!!」
こう思っている。
絶対に思っている。
思っているけど、口に出さないのが美徳でもある。
いや、こんなことを言葉に出してしまう落語家が
ヨゴレだと言っているわけではありません。
ただ心の中で思ってはいます(笑)
ウケるために
とにかく僕らは、都合よく他人のせいにしたがる生き物だ。
上手くいかないことは、他人のせいだ。
ただ、僕は上手くいった時には
「いや~、皆様のおかげで。ほんと運がよかったですわ」
という気持ちは忘れないようにしている。
上手くいかなかったことを人のせいにするよりも
上手くいくための「運」と「皆様」を増やしていこうと決めた。
落語でウケるために「運」を貯めていく――
このことに関して、僕はすごく意識が高い。
え? 落語でウケたかったら
もっと稽古して目から血が出るほどネタを考えろって?
いや、どんだけ稽古を重ねても、運悪く
全然笑わないお客様の団体に遭遇してしまったらおしまいなのです。
だから僕は、毎月1日または15日に氏神様(近所の神社ね)にお参りをし
「祐気取り」という暦を調べてもらって
指定された日に吉方位へ度々パワーをもらいに行き
地方の仕事先の近くにパワースポットがあると聞くと
できるだけ足を運ぶ。
家には簡易だけど神棚があり、伊勢神宮と氏神様のお札を祀っている。
もちろん各劇場や仕事先で神棚を見つけると
必ず二礼二拍手一礼を忘れない。
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