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〈書評〉 熟柿 (佐藤正午 著)

「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第8回

〈書評〉 熟柿 (佐藤正午 著)

積み重ねた想いや苦労は、必ず報われる日が来ると信じている

笑福亭 茶光

執筆者

笑福亭 茶光

執筆者プロフィール

熱い想いと情熱 ~水戸みやぎん寄席

 『笑福亭茶光 47都道府県ツアー!』

 これが私の夢だ。落語で全国を回りたい。

 現在は主に東京、出身地の大阪、宮城(仙台)、茨城(水戸)、年に一回福島でも独演会をさせてもらっている。落語をするために作られた小屋がある街は行きやすいので、とてもありがたい。

 茨城県の水戸に、落語好きの席亭の熱い想いと、それに賛同した関係者の情熱で建てられた『水戸みやぎん寄席』という小屋がある。会場のデザインに古今亭菊之丞師匠が関わられているので、高座も客席からとても見やすい作りになっていて、ウケない時に『高座が低すぎて、客席から演者が見えないからね』という言い訳は通用しない。ウケない場合は、ちゃんと見えた上でウケていないのだ。

 いや、言い訳と言ったが、低いのは本当にウケに直結する大事な問題だ。

 ごくたまに、ご自宅に招かれて落語をすることがある。

 「高座はありませんが、少人数なのでお願いします」

 お邪魔してみると、畳の上に座布団がセッティングしてあり、ご家族の皆さんがソファーに腰掛け、私を見下ろす形の会場になっていた。『笑わせて許しを請う罪人』というよく分からない想像を膨らませながら、落語を披露したことがある。

 ちょっと異様な空間。まともな感覚があれば、なかなか人を見下しながら笑うことはできない。所作が見える見えないだけでなく、高さのある高座はお互いのために大事なんだと再認識する結果となった。

 『水戸みやぎん寄席』のおかげで、私も水戸に行く機会が増えた。2022年の9月に開場し、今年が4年目。ご常連のお客様も目に見えて増えてきている。定期的にいろんな落語家が来て、落語を聴く場所さえあれば、落語ファンは増えるんだと感じられてとても嬉しい。