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流麗にして弁舌 一龍斎貞鏡 (後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第3回
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- 講談
襲名への想い
宝井琴柳と琴調は一門は異なるが、若い頃から貞山と芸のしのぎを削り、先輩の宝井琴梅、琴桜とともに「講談かぶら矢会」という会に出演していた(現在は一部メンバーを代えて継続)。最後に、祖父、父が名乗っていた講談界の大名跡「一龍斎貞山」という、貞鏡にとっても大切な名前について尋ねてみた。
――攻めた質問になりますが、九代目一龍斎貞山はどうされますか。
貞鏡 真打昇進が師匠の三回忌にあたる年でしたので、昇進と同時に襲名をと仰っていただきましたが、気持ちが定まりませんでした。でも貞山の唯一の弟子として、娘として、講談界のことを考えた時に、もしお許しをいただけるのなら、いずれは継がせていただけたらと思っています。そのためには、いつでも九代目を継げるように、それだけの勉強をしておきたいと思っています。
――襲名するなら50歳までとも言います。その名前を大きくできるのも、体力的にも、50歳くらいまでということなのだと思います。
貞鏡 貞山の娘だから貞山になれたんだろうって言われてしまうと、師匠に対しても申し訳が立たないので、もっと持ちネタを増やして芸を深め、その時、お一人でも多くの方に「貞鏡に襲名させて良かった」とご納得していただけますよう、精進あるのみです。
――今年になって写真集も出して、また新しい一龍斎貞鏡の姿が見られるのではないかと期待しています。最後に何かあれば、ぜひ。
貞鏡 この度、初めて出版させていただいた『貞鏡 講談絵巻本』(竹書房)は、第五子の陣痛が起こる直前までしたためていました(笑)。これまでの一龍斎貞鏡の半生記を豊富な写真と文で綴っており、まさに命をかけた本ですので、ぜひ、お読みいただけたら嬉しいです!
今は育児と講談を両立することが一番の課題で、その塩梅を試行錯誤中ですが、今後とも御贔屓を賜れましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
(以上、敬称略)
- 書名 : 貞鏡 講談絵巻本
- 著者 :
一龍斎貞鏡、
橘蓮二 他 - 出版社 : 竹書房
- 書店発売日 : 2025年3月6日
- ISBN : 9784801943728
- 判型・ページ数 : B5変判・128ページ
- 定価 : 3,500円(本体3,182円+税10%)
▼「講談師 七代目 一龍斎貞鏡」ホームページ
(了)
―― 前編はこちら 『流麗にして弁舌 一龍斎貞鏡(前編)』
―― 中編はこちら 『流麗にして弁舌 一龍斎貞鏡(中編)』