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社会派講談の旗手 神田香織(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」第7回

若手育成と定席復活への願い

香織 実は若手、それも女性で優秀な人が沢山いるんですよ。法人化もするので、若手中心に動いてもらいたいので、そうした人にお願いしてくださいと言ったんですが、年功で行くと私になるそうなんです。私は古典をあまりやってきませんでしたが、それでも『三方ヶ原軍記』も教わっていますし、『佐野源左衛門の駆けつけ』も読んでいます。修羅場とか歌い調子とかは大切だと思っていますが、自分の路線を進んでしまったので、私は講談協会の亜流であり続ける、そんな存在であると思っていたんです。だから「私が副会長?」って、周りの人も最初は笑っていました。

 今、宝井琴調会長が頑張っていらっしゃいますから、頑張っている若手を引き上げるという意味でも、そして法人化という大事な目的のためにも、できることはやらせていただき、次の若手に繋いでいくためにお引き受けしました。織音にしても春陽さんにしても、琴鶴さんや貞弥さんにしても、ある時期からみなさんが切磋琢磨して、そうすると後の人もそれについていきますから、若手が実力をつけてきたのは嬉しいですよ。今、前座さんも多いでしょ。

香織 前座さんが入ってこない時期もあって、伊織の時も来なくて大変だったのに。私の講談教室の生徒さんでもプロになりたいという人がいたんですけど、年齢が年齢だからと、ちょっとね……。

香織 ありがとうございます。今後のことで言えば、あとは講談の定席がほしい! せっかくこれだけ若手が育ってきているのですから、やはり定席がほしいですね。