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袋氷

三遊亭好二郎の「座布団の片隅から」 第4回

シンプルイズベスト! ザクザクかき氷

 最近のかき氷のマイブームは、「朝倉のおいしい水 かき氷」である。むしろ、これしか食べていない。九州発祥のかき氷で、イチゴのシロップがたっぷりかかったサクサクの氷が袋いっぱいに詰められている。

 噺家になる以前、九州にいた頃は身近な店によく置いてあった。九州限定だと思っていたこのかき氷が、まさか東京で食べられるとは思わなかった。セブンイレブンでたまたま発見したのだが、この時の喜びと言ったらない。久しぶりに味わう懐かしの味。

 第一、この名前もすごい。「朝倉のおいしい水」って。パッケージ裏には「福岡県朝倉には、函養城の古処山からまろやかな地下水が流れ、この水でおいしい氷を作りました」と書いてある。もうおいしそう。

九州人の夏の定番、袋入り氷。器に移さず、袋のまま食べる人も!

 この袋氷にハサミで切り込みを入れて、昔ながらのガラスの器に移す。スプーンで口に運んだ途端に広がる、懐かしいあのイチゴシロップの香り。近年、流行りのフワフワかき氷と真反対のザクザクとしたシンプルイズベストの古典的食感。やはり、かき氷はこうでなくてはならない。

 最近のかき氷のチャラさといったらない。昔のかき氷は良かった。そうだ。私は老害だ。

 子供の頃、お祭りの夜店で出てくるイチゴのかき氷に心を躍らせた。「あぁ……いつかこのシロップをヒタヒタにかけて腹いっぱい食べたい」と子供心に思ったものだ。その夢が叶うのがこの「朝倉のおいしい水 かき氷」である。あの頃に自分に言ってあげたい。「コンビニで売ってるよ」と。