五劫思惟阿弥陀如来

「くだらな観音菩薩」 第5回

夏のマクラと冬のマクラ、なぜ笑いに温度差があるの?

 夏のマクラは、例えば、

 「いや~、毎日暑いですね。あんまり暑いので、掛け軸の富士山の雪が溶けちゃいましたよ」
 「いや~、毎日暑いですね。暑いせいで冷蔵庫の卵が、ゆで卵になっちゃったよ」
 「いや~、毎日暑いですね。この暑さが続くと、12月には50度くらいになっちゃうんじゃないですか?」

 ……などなど。ねぇ、皆さん、これどう思います。面白いですか?

 正直言うと、あまり面白くはないですよね。でも、昭和の初期の(落語の)音源とかを聞くと、凄く受けているんですよね。お客様が楽しそうに、声出して笑っているんですよ。

 どうしてなのか? これ、「言う人」と「言い方」と「間が整っている」と面白くなるんですね。もちろん、お客様の笑いたい欲や、楽しみたい欲もあるんでしょうけど。そうなると、言い方や間を極めれば、何でも面白くなるってことなのかなぁ? でも時代もあるしなぁ。

 あっ、これ、冬にしたらどうなるんだろう?

 「いや~、寒いですね。これだけ寒いと、8月にはマイナス20度くらいになっちゃうんじゃないですか?」

 う~ん、やっぱり夏の方が面白いかなぁ? でもこれも言い方や間が完璧だと受けるんだろうなぁ……などと面白いことについて考えている時にワクワクしている私は、やはり面白いことが大好きなんだと思います。

 人間の「考える」という行為は、素敵ですよね。哲学なんて最たるもので、“答えの出ないもの”を考え続けることを「学問として素晴らしい」みたいに言ってるじゃないですか。

 有名なところだと、「餃子の皮と餃子の餡は、どちらが先にできたと思う? → それは皮だろ! 何も入ってない蒸しパンみたいなのがあるんだから! → しかし、人間が食べたのは、小麦より肉の方が先のはずだ! → 肉饅頭を皮で包むことを考えた人がいるはずだ!」みたいなことを考え続けるみたいなもんですよね。

 考えるって素晴らしい。まさにパスカルの残した言葉、
 「人間は考える芦田愛菜だよ!」ですよね。

※パスカル……ブレーズ・パスカル。1623年6月19日~1662年8月19日。フランスの哲学者、自然哲学者、物理学者。「人間は考える葦である」などの多数の有名な言葉を残した。