9/3は、睡眠の日 →電車で寝過ごしてしまった男の恥辱

「エッセイ的な何か」 第4回

羞恥の電車旅

 その後、駅員に見つからなかったのか、ほっとかれたのか、はたまた無人だったのかは知る由もないが、放置された状態のまま、駅のホームで朝を迎えるに至ったと思われる。

 ……まあ、それは良いのだが(あまり良くないか)、問題は何故か上半身が裸ということ。これも自ら脱いだのか、ひん剥かれたのかは不明であるが、とにかく身にまとっているのはジーンズ一枚のみ。

 なんとかしなければ!と辺りを見回すと、改札の外にセブンイレブンが。コンビニなら白Tシャツの一枚ぐらい売っているだろう。

 ……が、貧しい前座であった僕はそこで躊躇した。改札の外へ出たら、松戸~大津港という長大な区間の運賃が発生してしまう。無論、具体的な料金は分からないが、何しろここは福島県である。持ち合わせで足りないということも十分考えられる。大ごとになってしまうではないか。下手したら刑事罰……。

 そんな恐怖心から、上半身裸のまま帰京を決意。なあに、朝一番だし田舎だ。乗客は数えるほどしか居ないだろう、と踏んでそのまま始発電車に乗り込む。

 その目論見は当たり、乗客は数名程度。やったぜ!

 ……が、悲しいことに、土浦辺りでラッシュアワーに到達。ギュウギュウの車内にて、恥ずかしそうにうつむく半裸の男ありけり。そしてギュウギュウのはずなのに、その男の周りだけミステリーサークルのようにポッカリと空いた車内。乗客は近づいて来ず。そりゃあ近づきたくないよなぁ。半裸丸刈り男には。

 恥辱に耐え、どうにかこうにか上野に到着。

 そこからジーンズ一枚、上半身裸のまま直接楽屋入り。
 そんな奴、ロックスターでも居ないよ!
 「おはようございまーす」じゃないよ!
 半裸のくせに!
 後輩も苦笑いだよ!

 ……なんでこんなエピソードを書いてしまったんだろう。睡眠の日から単なる酔っ払いの話になってしまった。ここで改めて『睡眠の日』の定義を見ると、『正しく質の高い睡眠の普及』とある。

 一切、『正しく質の高い睡眠』の話じゃないな、コレ! 正しくもないし、色々な意味で質も低いし。

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※編集部註:電車をうっかり乗り過ごしても、追加料金なしで目的地に戻ることができます。これは「誤乗」と呼ばれ、各鉄道会社が旅客営業規則に記しています。ただし、わざと乗り過ごした場合は不正乗車と見なされ、罰金が科される場合があるのでご注意ください。

(毎月19日頃、掲載予定)