伝統を纏い、革新を語る 神田陽子(中編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第12回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/09/28
講談を世界へ!
――先生は海外でも講談を普及する活動をされていますが、近年の活動について教えてください。
陽子 去年(2024年)は立川志の春師匠と一緒に行かせてもらい、今年もケンブリッヂ大学へ行ってきます。志の春さんはイェール大学卒業で英語もペラペラですし、落語も英語で古典や新作もできますから、もう何度も海外に行かれているんです。そうしたら向こうにいらっしゃる先生が講談に興味を持たれて、学生にワークショップで講談をやって欲しいと言われたんですね。今は一部の公演は学生だけではなく、一般の人にも参加してもらえるようにしています。
今年も行くんですが(9月15日~21日)、それは近世文学会にも所属しているラウラ・モレッティ先生という方が学会として呼んでくれたんです。それが私は嬉しくて。世界中の日本研究の人の目に触れるでしょ。世界の各地で講談を広められるように、だからぬかりないように頑張ろうと思っています。でも、こればかりは注文が来ないと行かれないので、注文をお待ちしております!
――ワークショップは具体的にどんなことをやるんですか。
陽子 私は基本的な短い講談を読むんです。外国でもわかりやすいような『一休さん』とか、『真田幸村』とか。
――『真田幸村 大坂入城』ですか。
陽子 そうです。「ピシーリ一鞭……」といった格好いい場面とかです。テレビで何回も放送されているんですが、学生の出来の悪い場面ばかり使うんですよ。その方が面白いって。うまい子も沢山いるのに(笑)。
――講談は日本語で読むんですよね。
陽子 日本語ペラペラの子たちばかりですから。頭のいい学生が色々なところから集まってきています。ところが着ているものがそれぞれの文化の服なので、半纏(はんてん)のようなものを着せたりはするんですが、肌を露出して講談を読んだりするので、こっちが恥ずかしくなるような格好で大変だったりすることもあります(笑)。
でも講談を通して、異文化の人たちが異文化を通して交流するので、コミュニケーション力は培われると思います。今年はモレッティ先生からの注文が、志の春師匠は「仇気屋艶二郎(あだきやえんじろう)」で、私が「蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)」。あとは二人で黄表紙の『竹斎(ちくさい)』を演じます。
――『蔦屋重三郎』は新しく作られるんですか。
陽子 実は今、(神田)桜子ちゃんに作ってもらっています(笑)。
――今、神田桜子さんの新作の実力は誰もが認めるところですから。
陽子 私をとっくに超えていきました(笑)。
ここで出た『仇気屋艶二郎』は、江戸時代の黄表紙の一つで、山東京伝(さんとうきょうでん)が1785年(天明5年)に送り出した『江戸生艶気樺焼』(えどうまれうわきのかばやき)の主人公で、百万長者である仇気屋の19歳になる一人息子艶二郎を描いた作品。『蔦屋重三郎』については、今年のNHKの大河ドラマの主人公であり、様々な形で特集が組まれたりしたので、改めて記すまでもないだろう。
そして陽子が志の春と演じる『竹斎』とは、『べらぼう』にも登場する鶴屋喜右衛門(つるやきえもん)が出版した黄表紙である、築地善交・作、北尾重政・画による『竹斎老宝山吹色(ちくさいらうたからのやまぶき)』である。
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