伝統を纏い、革新を語る 神田陽子(中編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第12回

講談を世界へ!

陽子 去年(2024年)は立川志の春師匠と一緒に行かせてもらい、今年もケンブリッヂ大学へ行ってきます。志の春さんはイェール大学卒業で英語もペラペラですし、落語も英語で古典や新作もできますから、もう何度も海外に行かれているんです。そうしたら向こうにいらっしゃる先生が講談に興味を持たれて、学生にワークショップで講談をやって欲しいと言われたんですね。今は一部の公演は学生だけではなく、一般の人にも参加してもらえるようにしています。

 今年も行くんですが(9月15日~21日)、それは近世文学会にも所属しているラウラ・モレッティ先生という方が学会として呼んでくれたんです。それが私は嬉しくて。世界中の日本研究の人の目に触れるでしょ。世界の各地で講談を広められるように、だからぬかりないように頑張ろうと思っています。でも、こればかりは注文が来ないと行かれないので、注文をお待ちしております!

陽子 私は基本的な短い講談を読むんです。外国でもわかりやすいような『一休さん』とか、『真田幸村』とか。

陽子 そうです。「ピシーリ一鞭……」といった格好いい場面とかです。テレビで何回も放送されているんですが、学生の出来の悪い場面ばかり使うんですよ。その方が面白いって。うまい子も沢山いるのに(笑)。

陽子 日本語ペラペラの子たちばかりですから。頭のいい学生が色々なところから集まってきています。ところが着ているものがそれぞれの文化の服なので、半纏(はんてん)のようなものを着せたりはするんですが、肌を露出して講談を読んだりするので、こっちが恥ずかしくなるような格好で大変だったりすることもあります(笑)。

 でも講談を通して、異文化の人たちが異文化を通して交流するので、コミュニケーション力は培われると思います。今年はモレッティ先生からの注文が、志の春師匠は「仇気屋艶二郎(あだきやえんじろう)」で、私が「蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)」。あとは二人で黄表紙の『竹斎(ちくさい)』を演じます。

陽子 実は今、(神田)桜子ちゃんに作ってもらっています(笑)。

陽子 私をとっくに超えていきました(笑)。