現実世界との相互作用

古今亭佑輔とメタバースの世界 第5回

広重美術館

 「広重美術館」は山形県天童市に実在する、江戸時代の浮世絵師・歌川広重(うたがわひろしげ)の作品を中心に展示する美術館である。

 VR空間の中にも美術館が再現されているので、なんとこの美術館では、絵に近づいたり触ったり、絵の裏側まで見ることができる。クイズがあったり、絵の3D空間に入ったり、現実世界ではできないVRならではの技術を駆使した素晴らしい空間である。

 自分は歌川広重の命日の9月6日、仮想空間の広重美術館で落語をやらせてもらった。落語と現地スタッフによる絵の解説付きツアーである。絵にまつわる落語を一席やり、その後は絵をいくつか見繕って解説していただいた。

 参加者からも気軽に参加できると好評であったし、自分も一参加者として大いに楽しませていただいた。

メタバース後夜祭

 AOYAMA GREEN FESTIVAL「メタバース後夜祭」青山学院大学同窓祭実行委員会により、青山学院大学OBの方々に向けてVRでのイベントが行われた。

 Cluster(クラスター)というプラットフォームの中に青山学院大学のキャンパスを再現して、学生が主体となってアーティストや団体を呼び込んで文化祭のようなイベントを行う。私自身、青山学院大学の出身ではないのだが、VRC落語会のスタッフの一人の母校であり、そのご縁があって落語を行うことになった。

 学生たちの中でもVチューバーがいたりと、みんな学生のうちから学校の施設でVR機器に触れ、様々な取り組みを行っているとのこと。学生の頃からそのような活動ができることは、非常に素晴らしいことであると思う。

 キャンパスの再現度はもちろんのこと、イベント自体も実に賑やかでまるで文化祭に参加したかのような感覚であった。学生と接する機会も少ない自分にとってとても新鮮な経験であった。

 さらには、普段使っているVRChatというプラットフォームとは別のClusterを使用するという点でも自分にとっては挑戦であった。普段、使用しているものとは違うプラットフォームだったので、それなりに苦戦もしたが、さらなる活動の場が広がったことが何より嬉しい。