レッサーパンダの風太くんは、パン間国宝!

「浪曲案内 連続読み」 第7回

個性豊かに、自由に

 22歳の風太くんは白内障で、右目は見えず、歯も悪いので笹も粉末。小屋からリンゴを食べにゆっくりと出てくる姿は、人間のおじいちゃんのよう。動物園の動物も人間と同じ高齢化社会になってきたようです。

 しかし、食欲旺盛な風太くんを見ていると元気が出てきます。

 人間はストレスで拒食になったり、過食になったり、忙しい時には、なんで一日三食食べなきゃいけないんだろうと思う時もあります。そんな時、ふっと、風太くんがリンゴを食べている姿を思い出しました。風太くんが食べてるんだから、僕も食べればいいんだ。

 人間も動物も同じじゃないか――。気が楽になりました。

 私は今回の浪曲を作る中で、風太くんが個性豊かに、自由に千葉市動物公園の中で生きているように感じました。風太くんの人生、いや「パン生」を生きている。シートンが物語で描いたオオカミ王ロボたち英雄、ヒーローのように、私たち人間に多くのことを教えてくれる存在だと思っています。

 風太くん、と云ったら申し訳ない。「風太さん」ですね。

 風太さんのアイドル性とその偉業は、国宝級。人間国宝ならぬ、「パン間国宝」。今回、浪曲の話はあまり書かなかったですが、風太くんのスックと立ったその背中から、浪曲師として学ぶことは沢山ありました。

(毎月15日頃、掲載予定)