五合目 ~京都漫遊記 〈参〉

「伯知の日本酒漫遊記 ~酒は“釈”薬の長」

五合目 ~京都漫遊記 〈参〉

今回は、京都市伏見区の「月桂冠 大倉記念館」へ(写真はオリジナルの枡)

松林 伯知

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松林 伯知

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伏見で出会った白い雪の酒

 黄桜(きざくら)をあとにして、次はこれまた有名な月桂冠(げっけいかん)へ向かおうとさらに歩こうとしたが、とにかく外は暑く、展示を見回ったせいで足も疲れている。ちょっとどこかでお茶休憩してから次の蔵へ……と思いつつ歩いていると、目に入ったのが、喫茶処「伏見夢百衆(ふしみゆめひゃくしゅう)」の建物。

伏見夢百衆

 大正八年に建てられた月桂冠の旧本店を改装した、喫茶スペース兼お土産処。レトロ風情ある喫茶に入り、さてなにを注文するかとメニューに目をやり……釘付けになったのが、玉乃光 氷のお酒 みぞれ酒。これしかない!と即注文。

 玉乃光だと、最近はワインのような甘みがある「TAMA」という猫ラベルのお酒がお気に入りなのだが、暑くて疲れている体には、冷たい日本酒フローズンドリンクが最高である。枡にグラス、その中にまるで白い雪のように氷結したお酒が盛られている。

玉乃光 氷のお酒 みぞれ酒

 シャクシャクと崩してスプーンにのせ、口に入れるとシュワっと溶けて、酒の味が染み渡り……もうニコニコするしかない美味さ。すると、店員さんがやってきて、

 「こちら試食品なんですが、宜しかったらどうぞ!」

 なんと京都名物、八ツ橋のお差し入れ! 玉乃光の甘みと、八ツ橋のシナモン、餡が合わさってこれまた味わいが変わる。かつて「饅頭で酒は飲めるか?」と訊ねてきた橘ノ圓(たちばなのまどか)師匠のことを思い出しながら、「日本酒と甘味、最高だよなァ……」としみじみ味わい、幸せなひと時。

差し入れの八ツ橋

 こちらの「伏見夢百衆」、レトロでお洒落な喫茶ゆえ、まわりを見れば、若いカップルやご夫婦連れでテーブルは埋まっており、自分だけが……自分だけがぼっちだったのだが……美味しいものを味わえば幸せ、そんなこと、気にならないのである!