五合目 ~京都漫遊記 〈参〉
「伯知の日本酒漫遊記 ~酒は“釈”薬の長」
- 講談
松林 伯知
2025/11/22
満員御礼の酒蔵で、まさかの神の一声
さて、喫茶を出て、いい心持ちで道なりに歩いていくと、見えてくるのが「月桂冠 大倉記念館」である。月桂冠の歴史はもちろん、酒造用具類を工程ごとにそのまま展示し、見学の後には試飲コーナーで利き酒付きという、至れり尽くせりの記念館。
さあて、見学を申し込もう……と入り口へ。ところがである、『本日の見学は満員となりました』の掲示。
(なんだと! ここまで来て、まさかの満員!? さすがインバウンド京都、酒蔵までも満員とは……。くっ、カッパとみぞれ酒に夢中になって出遅れたか……)
入り口前で無念さを噛み締めていたその時、突然、ガラリと扉が開き、「あのー……」と中からスタッフさんが現れて話しかけてきた。
「もし良かったら、最後の見学回に空きがあるので、ご参加なされますか?」
まさに天の声である。
「なされます、なされます!! 良かったァ~」
大喜びで中に入れてもらい、受付へ。入館料600円を払うと、オリジナルの枡と利き酒用のコイン3つが貰える。
「展示へは、順番にご案内します。最後に試飲コーナーがございますので、そこで3種類の利き酒ができます」
丁寧に説明いただき、時間になったら案内の通りに館内へ。伏見と酒造りの歴史について、とにかく丁寧に語られる展示でとにかく勉強になる。

月桂冠の銘柄は、1905年(明治38年)に「日本酒でナンバーワンになる」という心意気をこめ、勝利のシンボルである月桂冠を商標にしたとのことだが、そもそも1637年(寛永14年)、初代の大倉治右衛門が創業、当初は屋号を「笠置屋(かさぎや)」と名乗り、「玉の泉」という酒を造っていたそう。
幕末、酒蔵近くに伏見奉行所があったことや、跡地から笠置屋の徳利が発掘されていることから、鳥羽・伏見の戦いに赴く幕府軍や新撰組隊士たちは、この笠置屋の酒を飲んでいたのではないか……と推測されるらしい。

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